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《新型肺炎》地方政府が都市封鎖想定、対策本部「時期尚早」(トップニュース)


ニュース 社会 作成日:2020年4月23日_記事番号:T00089568

《新型肺炎》地方政府が都市封鎖想定、対策本部「時期尚早」(トップニュース)

 海軍の敦睦遠航訓練支隊で新型コロナウイルスの集団感染(23日時点29人)が発生し、感染者が各地を出歩いていたことが判明する中、台北市、高雄市政府が市中感染の拡大を想定し、都市封鎖のシミュレーションを予定している。一方、対策本部の中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)指揮官の陳時中衛生福利部(衛福部)長は22日、都市封鎖を検討するのはまだ早いと語った。学識者は、政治的パフォーマンスは市民の不安をあおるだけと警告した。23日付蘋果日報などが報じた。

/date/2020/04/23/00virus_2.jpg頼澎湖県長。陳衛福部長は、澎湖県政府のマスク着用義務について「反対しないが、新鮮な空気を吸えなくなる」と語った(澎湖県政府FBより)

 指揮センターは、▽第1段階の過渡期(感染経路不明の域内感染例が散発的に発生)▽第2段階の警戒期(感染経路不明の域内感染が1日10例以上、クラスター発生が週3件以上)▽第3段階の管制期(域内感染が急増、感染経路が追跡できない例多数)──を想定。台湾は現状、過渡期と警戒期の中間で、都市封鎖は管制期の対策と設定している。

 陳衛福部長は、海軍の敦睦遠航訓練支隊の集団感染の発生後、接触者への必要な対策は取っており、都市封鎖について語るのはやや早いと話した。域内感染は11日連続で確認されていない。

 次期副総統の頼清徳氏は22日にフェイスブック(FB)で、市中で感染者が急増し、医療崩壊が懸念されれば、都市封鎖が必要になるが、台湾は感染確認例も少なく、中央流行疫情指揮センターの要請にしっかり従えば、抑制できると呼び掛けた。

新北市、21日間の封鎖想定

 柯文哲台北市長(台湾民衆党)は22日、都市封鎖の机上演習を来週実施すると予告した。同市での都市封鎖は想像よりはるかに困難で、中央政府の部会(省庁)の協力も必要と説明した。詳細は明らかにしていない。

 韓国瑜高雄市長(国民党)は22日までに、5月3日に鳳山行政中心(鳳山区)と四維行政中心(苓雅区)で、地域封鎖の防疫訓練を実施することを決定した。ビル内で感染者が出たことを想定し、救急車の出動や医療機関での感染者受け入れ、市民の防疫ホテルへの退避など、実地訓練を行う。

 新北市政府は20日に、人口集中地区の板橋区や中和区で感染者が急増したという想定で、都市封鎖の実地訓練を実施した。市内全域で生活必需品の買い出しや医療機関への通院など以外の外出を21日間禁止するという内容。通行証とする身分証番号の末尾で外出できる時間を制限し、買い物は13歳以上で週3回まで、公共交通機関やタクシー乗車を禁じるなど。

 感染者ゼロの澎湖県の頼峰偉県長(国民党)は22日、5月13日まで県全域で屋外のマスク着用を義務付けた。マスク着用の勧告に従わない場合は、伝染病防治法(感染症予防治療法)により3,000台湾元(約1万800円)の罰金を科す。また、敦睦遠航訓練支隊の下船後の立ち寄り場所が南部で多く、5月5日まで県職員の高雄市、台南市出張を禁止した。他県市からの遊覧船、釣り船、水上バイクの寄港も禁止した。

 澎湖県や観光業者は、まるで島の封鎖措置で、厳し過ぎるとの声を上げた。

 大葉大学通識教育中心の邱祈豪副教授は、地方政府による早過ぎる対策は、市民のパニックを招く恐れがあると述べた。