ニュース 社会 作成日:2020年4月24日_記事番号:T00089625
日本統治時代に建てられた映画館・劇場、天外天劇場(台中市)は、老朽化が進み、廃虚と化しており、今月初旬に土地所有者が取り壊しに着手しようとした。しかし、劇場の保存を願う歴史・文化団体がこれを阻止。文化部は急きょ、暫定古跡に指定し、半年をかけて対応を検討することを決めた。
建物内には当時、食堂や喫茶店、ダンスホールなどもあった(台中文史復興組合フェイスブックより)
天外天劇場は1930年代に地元の有力者、呉子瑜氏が出資し、台湾総督府の技師、斎藤辰次郎氏が設計を担当して建設された円形の天井を特色とする3階建て施設で、欧州風の劇場としては当時、台湾最大規模を誇ったことから「台湾の宝塚劇場」とも呼ばれた。
戦後、別の所有者の手に渡った天外天劇場は、国際大戯院と名を変え、映画館として営業を続けたものの、64年に経営不振から閉鎖。その後、冷凍工場やエビ釣り場所などとして利用されたものの、2010年ごろ以降は敷地は駐車場となり、建物は荒廃が進んだ。
文化団体がこれまで何度も古跡登録を申請したものの、当局によって見送られた。これに納得できない団体が保存の実現に向け、政府への陳情書の送付や募金などの活動を続けていた。
この土地は約427坪で、元経営者の家族を中心として40人以上に所有権があり、中には18年にわずか10坪以下の権利を取得した土地再開発を手掛ける来瑪科技という企業も含まれる。この企業の発案で、これまで何度も取り壊しの危機に見舞われたようだ。
今月2日にも敷地内にショベルカーが入り、取り壊し作業が始まろうとしたところ、文化団体のメンバーが現場に駆け付けて阻止。文化部がその場で施設を半年間、暫定古跡に緊急指定すると表明し、取りあえず取り壊しは中止となった。
地主の1人は、これまで専門家会議で文化的価値は小さいと何度も判定されたのに取り壊せないのはおかしいと不満を示した。文化団体側は、双方が建物の活性化を願っており、文化登録資格を取得して、改修と運営を財団法人に委ねるのがベストと指摘した。
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