ニュース 電子 作成日:2020年5月19日_記事番号:T00090025
米国政府が中国の通信設備大手、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)に対する禁輸措置強化を発表したことを受け、中国政府が報復措置を取り、ファーウェイはサプライチェーンから米国メーカーを除外する「米国外し」を加速すると予想されている。証券会社は、ファーウェイのミドル~ハイエンドのスマートフォン機種向けチップは米クアルコムと聯発科技(メディアテック)製が多く、今後メディアテックの受注が拡大すると予測した。19日付工商時報などが報じた。
米商務省が発表した禁輸措置は主に、ファーウェイ傘下のIC設計大手、海思半導体(ハイシリコン)による米国製の電子設計自動化(EDA)ツールの使用や、生産委託先による米国製の製造装置使用での量産を禁止するためのものだ。EDAツール上位3社は、シノプシス、ケイデンス、メンターといずれも米国企業で、ハイシリコンは自社でチップが設計できなくなるとされる。また先進製造プロセスの半導体製造はほぼ米アプライドマテリアルズかオランダのASMLの設備が使用されており、新ハイエンドチップ製造の道が閉ざされるとみられる。
あるサプライヤーによると、ファーウェイはスマホ用チップのほか、電源管理IC(PMIC、パワーマネジメントIC)、センサーを緊急発注するため、サプライヤーに在庫積み増しを求めた。
これにより、まずIC設計会社が緊急受注を得る見通しだ。メディアテックをはじめ、▽瑞昱半導体(リアルテック・セミコンダクター)▽矽創電子(シトロニクス・テクノロジー)▽神盾(イージス・テクノロジー)──などの名が上がっている。台湾のIC設計会社は、米国のシリコンIP(知的財産)の使用割合を25%以下に抑えれば、米国政府の許可なく出荷できる。
米国製設備の代替困難
ファーウェイの半導体チップ製造で、米国製の製造装置が実質使用できなくなるファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、ファーウェイからの新規受注を止めたと報じられている。
市場調査会社、コンピューターポイント・リサーチの統計によると、TSMCはファーウェイのスマホ用チップの98%以上を受託生産しているとされる。TSMCは、米国の弁護士を動員して各製造プロセスの法務分析を急いでいるとされる。ただ、新禁輸措置が発効する前の120日間の猶予期間に、米国以外の設備で代替するのは困難とみられている。
TSMCは18日、米商務省の突然の新規定に対応するため、引き続き米国製品の輸出規定の変更に注視するとコメントした。半導体サプライチェーンは極めて複雑で、米国の設備メーカーをはじめ、世界中に広くまたがっていると説明した。
業界関係者によると、TSMCのいう米国の設備メーカーはアプライドマテリアルズ、ラムリサーチ、KLAなどを指す。TSMCは、主に米国メーカーの製造装置を採用しており、先進プロセスほどその傾向が強い。このほど量産を開始した5ナノメートルプロセスや、2021年に試験生産予定の3ナノプロセスは、米国製の製造装置なしには量産できないとされる。
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