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奇美が液晶TV大幅値下げ、パネル在庫の消化狙う


ニュース 家電 作成日:2008年7月22日_記事番号:T00009010

奇美が液晶TV大幅値下げ、パネル在庫の消化狙う

 
 奇美電子(CMO)は21日、自社ブランド「CHIMEI」の液晶テレビで、フルハイビジョン(フルHD)52インチ型を10万4,900台湾元から約16%引き下げ8万8,888元(約31万3,000円)とするなど大幅な値下げを発表した。値下げ攻勢でシェア拡大を目指すソニー、東芝など日系ブランドを迎え撃つほか、自社のパネル在庫の消化を進める狙いがあるとみられる。22日付経済日報などが報じた。
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 奇美電は、52インチ型液晶テレビの値下げに加え、来月10日まで同商品を購入した人に1万4,900元の22インチ液晶テレビをプレゼントするキャンペーンも実施している。また42インチ型フルHD液晶テレビも5万4,900元から4万9,900元に、「Eシリーズ」42インチ機種も4万6,900元から4万2,900元に値下げする。

 奇美電の鄭良彬ブランド事業群副総経理は、「今回のキャンペーンの値下げ幅はパネル価格の下落幅を上回っており、大型テレビ市場で最低価格を打ち出す。日系ブランド迎撃に有効だ」と自信を示す。また鄭副総経理によると、奇美は域内液晶テレビ市場でソニーに次いでシェア2位。今年上半期は52インチ型のシェアは50%近くに達し、大型液晶テレビ全体の販売台数も昨年同期比30%成長している。

販売拡大で一石二鳥

 最近の液晶パネル価格の下落は、世界的な消費低迷に直面した国際大手ブランドが、パネルの在庫調整に着手したことが原因とされる。このことが、傘下に自社ブランドを抱えるパネルメーカーによる、自社製品の積極的な販促活動展開を促している。狙いはブランド事業の拡大およびパネル在庫の消化にあり、販売が拡大すれば一石二鳥だ。

 経済日報は今回の奇美電による大幅な液晶テレビ値下げは、「パネルメーカーの受注見通しが予想以上に不透明であることの表れ」と分析しており、今後も自社ブランドのキャンペーンによるパネルの生産能力消化の動きはいっそう顕著になる可能性があるとしている。

「下半期利益は下降続く」

 香港野村証券の呉翔ハイテク産業アナリストは、在庫問題によるパネル価格の下落は、今後もさらに進むとしている。テレビ向けパネルの出荷が改善を続けたとしても、7月に10%の価格下落を記録したモニター向けパネルは8月まで下落が続くとの見方だ。パネルメーカーの今年下半期の利益は縮小を続け、来年上半期は状況がさらに悪化すると予測している。

 UBS(スイス・ユナイテッド銀行)でも、友達光電(AUO)と奇美電の株価についてそれぞれ15%および10%の下振れリスクがあるとして、短期投資判断を「売り」に引き下げた。

パネル価格安定は9月以降

 今後のパネル価格見通しとして、ウィッツビュー研究部の張小彪副総経理は、大型パネルの価格は7月に大幅な値下げとなって以来、既に生産コストに近づいており、価格の下落は8月には収束に向かうとの見方を示した。また友達光電(AUO)、奇美電など域内パネルメーカーで減産を実施していることから、9、10月には価格が回復・安定に向かうとしている。