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台湾唯一の夕刊紙、聯合晩報が休刊


ニュース 社会 作成日:2020年6月2日_記事番号:T00090293

台湾唯一の夕刊紙、聯合晩報が休刊

 台湾で唯一の夕刊紙となっていた聯合晩報が1日、休刊を発表した。最終号となった同日の第1面には、これまでの32年間に発行した全1万1,783号の1面を縮小して並べ、その上に大きく「謝謝(ありがとう)」の文字を重ねて読者に感謝を示した。

/date/2020/06/02/19kakomi_2.jpg聯合晩報は32年にわたり、台湾の民主政治の発展に関わる重要なニュースを報じ続けた(1日=中央社)

 聯合晩報は新聞発行規制(報禁)が撤廃された1988年、台湾四大紙の一つ、聯合報系列の夕刊紙として創刊された。夕方発行という特性を生かして当日に起きた事件などを取材して紙面に掲載し、午後のラジオやニュース番組に素材を提供した。

 特に2016年の米大統領選挙では、台湾時間の午前に開票作業が進められたため、事前予想をくつがえしてヒラリー候補との激戦を制してトランプ大統領が誕生する過程をいち早く、詳細に報じた。

 また聯合晩報は当日の株式市場動向を詳細に伝えたため、投資家などが投資戦略を立てるのに活用したという。

 この他、同紙は横組み紙面の採用や記者の署名入り記事の導入など、台湾の新聞初となる画期的な試みにも取り組んだ。

 台湾ではかつて複数の夕刊紙が発行されていたが、01年に自立晩報、05年に中時晩報(中国時報系列)と有力紙が相次いで休刊した後、聯合晩報が唯一の存在となっていた。

 聯合晩報の王茂臻編集長は、休刊は今年に入って急に決定したわけではなく、ここ数年検討を続けてきたが、購読習慣の変化、デジタルメディアの台頭に加え、新型コロナウイルスによる打撃を受け損益分岐点を下回ったことで決断に至ったと説明した。

 なお同紙の記者は全員、聯合報系列内にとどまって取材を続け、今後もデジタルメディアを中心としてニュースを読者に届ける予定だ。