ニュース 電子 作成日:2020年6月4日_記事番号:T00090327
行政院は4日午前、次世代半導体、第5世代移動通信(5G)、人工知能(AI)のハイテク産業の研究開発(R&D)センター設置費用を最大半額補助するプランを発表した。7年で予算100億台湾元(約360億円)以上を充てる。米中貿易戦争や新型コロナウイルス感染症の流行によりサプライチェーン分断やリスク分散のため、中国からの生産移転が進む中、半導体の海外大手企業の投資を呼び込むことで、台湾半導体産業の優位性を維持する狙いだ。中央社電などが伝えた。
林全能・経済部次長(次官)は、アマゾンやグーグルなどは補助プランの候補だが、まだ発表できる段階にないと語った(行政院ユーチューブより)
将来的に年間400億元以上の研究開発投資を呼び込み、関連雇用6,350人を生み出す見通しだ。経済部が早ければ6月中旬に申請方法を発表する。消息筋によると、▽製造関連の投資を5年で1,000億元以上、新規雇用1,000人以上▽研究開発投資を5年で100億元以上、研究員の新規雇用200人以上──のいずれかを満たすことを条件とする。プラン実施期間は当初4年で、最終年度に検討中の案件があれば3年延長し、最長で7年とする。
消息筋によると、米国の▽シスコシステムズ▽マイクロン・テクノロジー▽マイクロソフト(MS)▽アマゾン・ドット・コム▽グーグル──などがターゲットで、経済部が接触し、交渉を進めているとされる。また、条件を満たせば台湾メーカーも補助申請が可能で、海外大手企業のサプライヤーの申請が見込まれる。今年末までに少なくとも4件の投資を固める計画だ。
経済部技術処の羅達生処長は記者会見で、海外のハイテク大手がアジア・太平洋地域戦略を練り直しているため、その需要を取り込み、台湾を世界のハイテク研究開発センターとする契機だと強調した。米国や日本の政府もリスク分散に向けた政策でこうした企業を支援していると指摘した。
これに先立ち、蔡英文総統は就任演説で、「5プラス2産業創新政策」の路線を発展させ、半導体を含む六大核心戦略産業を推進することを掲げている。今回の補助プランは、台商(海外で事業展開する台湾系企業)のUターン投資を促進する「歓迎台商回台投資行動方案」など三大投資プランの実行とともに、蔡政権2期目の経済政策の柱となりそうだ。
予算不足の指摘も
半導体業関係者は、米国、中国、韓国がリスク分散のため新たなサプライチェーンの形成を目指す中、今回の補助プランは台湾メーカーと海外大手企業との連携を強化し、競争を勝ち抜く助けとなると指摘した。
台湾では近年、マイクロンがDRAMセンター・オブ・エクセレンス(DRAM卓越製造中心)を設置し、毎年60億元以上を投資して先進プロセスの微細化を進めている。クアルコムは5G先進技術の実験室や運営・製造工程・検査センター(COMET)などを設置する。補助計画がこうした動きを加速させ、台湾の地位を押し上げそうだ。
一方で、ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が先月発表した米アリゾナ州での新工場設置計画は、投資規模が120億米ドルに上る。今回の補助計画の予算100億元規模は、海外大手企業を呼び込むには魅力が薄いとの声もある。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722