ニュース 社会 作成日:2020年6月4日_記事番号:T00090347
新型コロナウイルスの感染症対策本部、中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)の指揮官を務める陳時中衛生福利部(衛福部)部長は先ごろ、全民健康保険(健保)の保険料の引き上げについて言及した。台湾の公的医療保険制度、全民健康保険(健保)については近年、医療費支出に対する保険料収入の不足が問題となっており、過剰な通院や検査の実施により医療費が無駄遣いされているとの指摘が上がっている。
衛福部中央健康保険署(衛福部健保署)の統計によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、今年1~3月の受診者延べ人数は前年同期に比べ533万4,000人の大幅減となった。いかに不必要な病院通いが多かったかが浮き彫りとなった。
昨年、病院で診察を受けた回数は1人当たり平均年間約15回だった。年間90回以上の受診者は3万5,000人を超えており、2017年より約1万人減少したものの依然多かった。医療費は約21.7%減ながら31億7,000万台湾元(約116億円)を維持した。個人の年間受診回数トップは年間466回(43歳女性)だった。
医療機関での検査を重複して受けた人数も、昨年は1,136万人(費用16億4,600万元)と、3年前の延べ1,176万人(費用17億7,400万元)より減少したものの、財務状況を大きく改善させるには至っていない。昨年、最も多く重複して検査を受けた個人は70歳の男性で、3種類の検査を7日間に174回受けていた。
重複検査について台湾医学中心協会の李偉強秘書長は、診療所の検査で異常が見つかった患者が大型病院で再検査を受け、数値の変化が診断や治療の重要な根拠となるケースもあるため、全ての重複検査が無駄なわけではないと説明した。
保険料の引き上げについて衛福部の前身、行政院衛生署の元署長、楊志良氏は、健保の財源問題を改善はするが、少子化が進む中で同様の問題が持ち上がるたびに保険料を引き上げれば就労世代の若者の負担がますます重くなり、世代間で衝突が起きると指摘。雇用主は現在、正社員の保険料の60%を負担しているため、保険料が引き上げられれば正規雇用が減る可能性が浮上すると分析した。
新型コロナが労働市場に打撃を与える中、本当に必要な者が十分な医療を受けられる改革が望まれる。
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