ニュース 電子 作成日:2020年6月10日_記事番号:T00090432
ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の劉徳音(マーク・リュウ)董事長は9日、米アリゾナ州に設置予定の5ナノメートル製造プロセスの12インチウエハー工場について、米国側が提示している優遇条件を見る限り、粗利益率は現在と変わらず、もちろん利益が出せると述べた。また、化学品など半導体材料のサプライヤーとともに進出したいと語った。台湾サプライヤーの柔軟性やコスト競争力を好感し、現地で同様のサプライチェーン(供給網)構築を図る構えだ。10日付経済日報などが報じた。
劉董事長(右)は、TSMCは創業者で前董事長の張忠謀(モリス・チャン)氏がビジネスモデルを構築し、世界レベルの企業へと成長を遂げており、今後10年は信頼を守り抜くと語った。左は魏哲家総裁(9日=中央社)
劉董事長は同日開催した株主総会で、先月15日に発表したアリゾナ新工場計画について、米国連邦政府やアリゾナ州政府が提示した補助金などの条件を加味すれば、新工場の運営費は台湾と変わらないと説明した。補助金に関連する米国の半導体産業の振興計画は、上院・下院での可決を待っている状況だ。
劉董事長は、米国での工場設置は同社の利益に合致しており、米国の顧客の信頼が得られることが最大のメリットだと語った。また、一部の顧客とは既に商談していると明かした。生産するチップを顧客が米軍に卸すこともあるかもしれないが、同社が米軍と直接取引することはないと述べた。
また劉董事長は、台湾メーカーはチャレンジ精神があり、米国進出に際しては、米国政府の補助金獲得を支援すると説明した。
証券会社は、アリゾナ州にはインテルの工場があり、半導体サプライチェーンが完備されているが、TSMCは台湾のサプライヤーの柔軟性やコスト競争力に期待していると分析した。
アリゾナ新工場は2021年に着工、24年の量産、月産能力は2万枚を予定している。投資額は120億米ドルを見込む。
設備投資は維持
米国政府の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)に対する規制強化について劉董事長は、たとえファーウェイ傘下の海思半導体(ハイシリコン)から受注が取れなくとも、その空きは他の顧客ですぐ埋まると語った。
そのため、今年の設備投資、売上高目標に変更はないとした。同社は先日の業績説明会で、設備投資は150億~160億米ドルの計画を維持し、売上高は前年比15%増に下方修正していた。
劉董事長は、新型コロナウイルス感染症の流行によって人類の生活様式が変化し、新しいテクノロジーの成長が促され、ハイテク産業は恩恵を受けると指摘した。一方、V字回復は困難で、U字回復やL字回復なら可能性があると語った。
4ナノ、23年量産へ
先日報道された「N4(4ナノプロセス)」についても言及した。劉董事長は、現在最先端の5ナノプロセスは強化版「N5P(5ナノプラス)」、5ナノ微細化版「N4」を含む3世代があると説明した。今年量産を開始した「N5」は来年さらに生産を拡大し、「N5P」は22年、「N4」は23年に量産予定と話した。
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