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ラーガン、「一部顧客が発注削減」(トップニュース)


ニュース 電子 作成日:2020年6月11日_記事番号:T00090463

ラーガン、「一部顧客が発注削減」(トップニュース)

 スマートフォン向け光学レンズ最大手、大立光電(ラーガン・プレシジョン)の林恩平執行長は10日、発注量を大幅に削減した顧客があると明らかにした。市場関係者は、米国の輸出規制強化を受け、中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)が発注を削減したとみている。林執行長は、上半期のスマホ市場はロー~ミドルエンド機種がよく売れたが、こうした状況はハイエンド向けを主に手掛ける同社にとって不利と指摘。第3四半期の状況は依然見通せず、需要期としてこれまでで最も慎重視している。11日付電子時報などが報じた。

/date/2020/06/11/00largan_2.jpg10日の株主総会後に、新型コロナウイルス感染対策のため初めてオンラインで記者会見を開催した林執行長は、内側に洗濯可能な布マスクを着けることで、外側の医療用マスクを10日間使っており、節約癖は変えていないと説明した。かつて小児科医だった立場から、台湾の感染対策の成功を絶賛した(10日=中央社)

 林執行長は受注状況について、一部顧客は積極的なものの、大幅に削減した顧客もあり、削減量が追加量を上回っていると明らかにした。米国の輸出規制強化が顧客の販売に影響しており、新型コロナウイルスの影響も出ている。

 市場関係者は、積極的な顧客とはサムスン電子やアップルを、大幅削減した顧客とはファーウェイを指していると分析した。サムスン電子は、8月に発売するとみられるハイエンドのスマホ旗艦機種「ギャラクシーノート20」シリーズ向け調達が続いているとされる。アップルの「iPhone12」については発売時期についてさまざまな臆測が出ており、3機種あるとされる同製品の発売時期が分散されれば、ラーガンの出荷時期に影響しそうだ。

 林執行長は、同社の生産ライン稼働率は4月時点に比べ改善したが、7月の注文を受けている段階で、7月で反発上昇に転じるかは分からないと説明した。6月は5月と横ばいとみている。

 余った生産能力の他の顧客への振り分け可能性について林執行長は、今年の新製品向けは2019年末から20年初めに決定しており、古い鋳型を使う旧機種向けレンズ以外の緊急受注は対応不可能と説明した。

 林執行長はまた、新型コロナウイルス感染症流行で多数の新製品開発案件に影響が出ており、20年から21年に、21年から22年に先送りされる状況が発生していると明かした。

1億画素の9Pレンズ

 新技術の状況について林執行長は、9枚構成プラスチックレンズ(9P)が顧客との共同開発(デザインイン)に入っており、1億画素を計画していると説明した。また、超広角での品質が向上する自由曲面(フリーフォーム)レンズでは、年内に搭載機種が発売される見通しだ。

 林執行長は、第4四半期にも着工予定の台中新工場など生産能力拡大計画や、今年の設備投資額は変更しないとした。

脳手術用の内視鏡、FDA認証

 林執行長は同日、同社が開発に携わった大脳の低侵襲手術向けの超小型内視鏡が、5月に米食品医薬品局(FDA)の認証を取得したと明らかにした。ラーガンは、米国の顧客向けに光学部品を供給する。

 ラーガンはこれまで、胃腸用のカプセル型内視鏡用レンズの開発経験がある。市場関係者は、医療向けは粗利益率が高いため、同社の利益を押し上げると指摘した。