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アフリカクロトキ繁殖、台湾各地で在来種の脅威に


ニュース 社会 作成日:2020年6月17日_記事番号:T00090577

アフリカクロトキ繁殖、台湾各地で在来種の脅威に

 本来はアフリカ大陸などに生息するトキ科の鳥、アフリカクロトキが近年、台湾各地で目撃されている。昨年は嘉義県で大規模な産卵場所が発見され、急速に繁殖していることが確認された。台湾の在来種にとって脅威となるほか、生態系のバランスを崩しかねないとして懸念されている。

 アフリカクロトキはアフリカ大陸のサハラ砂漠以南やマダガスカル島などに生息する鳥で、頭と羽の先が黒、それ以外は白い羽毛で覆われ、大きなくちばしを特徴とし、成鳥は全長80センチメートルにも達する。干潟や河口、池などに群れを作って生息し、魚や昆虫、カエルなど何でも食べる「大食い」としても知られる。

 アフリカクロトキが台湾に繁殖するようになったのは、1980年代に新竹県のテーマパークで飼育されていた6羽が、台風によって破損したケージから逃げ出したことがきっかけとされる。

 86年にこの6羽が、台北市の関渡湿地に生息しているところが確認された後、台中市や彰化県など中部でアフリカクロトキの巣が発見された。特に人気観光地、高美湿地を含む台中市の海岸部では、湿地や水田でエサを捕食している姿が頻繁に目撃されている。

 そんな中、さらに南部の嘉義県東石郷で昨年、アフリカクロトキ3,000羽以上が生息する巨大な繁殖巣が発見され、群れが南部に移動していることが明らかとなった。

 台中市海岸資源漁業発展所の呉建威所長は、アフリカクロトキは気が荒く、エサを食べる量も多いため、このまま増えていけば台湾固有の鳥の生存空間を脅かすほか、シオマネキ(カニ)や弾塗魚(トビハゼの一種)などの生息数減少につながる恐れがあると警鐘を鳴らしている。さらに台湾で冬を越す絶滅危惧種の渡り鳥、クロツラヘラサギの飛来を妨げる可能性もあるという。

 こうした中、行政院農業委員会(農委会)林務局は昨年より、猟銃によるアフリカクロトキの積極的な駆除に乗り出している。今年は既に成鳥3,833羽、ひな鳥1,014羽、卵1,180個を駆除した。年内に台北市と新竹県、雲林県の繁殖巣の駆除を完了させたい考えだ。