ニュース 電子 作成日:2020年6月19日_記事番号:T00090606
発光ダイオード(LED)最大手の晶元光電(エピスター)と、液晶パネル大手の友達光電(AUO)傘下のLED大手、隆達電子(レクスター・エレクトロニクス)は18日、株式移転により共同で持ち株会社を設立し、経営統合すると発表した。臨時株主総会での承認、各国・地域の独占禁止当局の認可を経て、10月の手続き完了を目指す。新会社のLED生産能力は世界の12.43%となる見込み。採用の広がるミニLEDや次世代のマイクロLEDの研究開発(R&D)を加速し、アップルをはじめとする大口顧客からの採用を目指す。19日付経済日報などが報じた。
新会社「A投資控股(仮称)」の名称は、6月末にも発表される(18日=中央社)
エピスターは川上・川中業務、レクスターは川下のパッケージング(封止)やモジュールを手掛けており、レクスターはエピスターの主要顧客だ。エピスターは、経営統合により新製品の量産が加速し、生産コストの低下が見込めると説明した。レクスターは、川上~川下の統合で、ミニLED、マイクロLEDや、化合物半導体の研究開発が加速し、重複投資を回避できると指摘した。持ち株会社の董事長には、李秉傑エピスター董事長が就任する見通しだ。
両社は、2社は子会社として独立して運営を続けるため顧客や従業員への影響はなく、持ち株会社は国際的なIII-V族半導体産業の投資プラットフォームとなると説明した。市場関係者は、両社のリソース統合でコスト削減や量産スケジュールの短縮が見込めるため、AUOやアップルが経営統合を後押ししたとの見方を示した。
証券会社は、エピスターは近年、アップルとマイクロLEDの採用に向けた研究開発で協力していると指摘した。ミニLED技術では、アップルはタブレット端末iPadやノートパソコンMacBookなどでの採用に向け、研究開発を加速している。ミニLEDバックライト技術は、ゲーミング(ゲーム用)ノートPC、ゲーミングディスプレイ、ハイエンドテレビで採用が広がり始めている。
今後2社は、8月7日に臨時株主総会を開き、経営統合の承認を求める。その後、中国を含む世界各国・地域の独占禁止当局への申請などを経て、株式移転の基準日は10月20日を予定する。2社は上場廃止となり、持ち株会社が新たに上場する。
持ち株会社の資本金は68億6,000万台湾元(約250億円)。エピスター株1株につき新会社株0.5株、レクスター1株につき新会社株0.275株を発行する。
AUO、次世代技術で大勢力に
AUOはレクスターに26.7%出資しており、筆頭株主だ。経済日報は、AUOグループは持ち株会社の主要株主として董事を派遣するため、アップルからの受注に関する発言力が高まり、AUOとアップルの関係は接近することになると分析した。AUOは、アップルの情報技術(IT)製品、ひいてはスマートフォンiPhone向けのLED受注獲得の競争で、台湾の液晶パネル大手の群創光電(イノラックス)を引き離す構えだ。
液晶ディスプレイ(LCD)や有機EL(OLED)に比べ省電力や薄型化を図れるため、ミニLEDやマイクロLEDに対する業界の期待は高い。アップルも台湾の次世代ディスプレイ技術を有望視しており、新竹科学園区(竹科)龍潭科学園区(桃園市龍潭区)に新工場「龍三廠」を設置すると伝えられている。主要パートナーはエピスターとAUOとされる。
AUOは、協力関係にあるマイクロLEDメーカー、錼創科技(プレイナイトライド)の技術リソースも活用の上、次世代ディスプレイの重要勢力を築き上げることになりそうだ。プレイナイトライドには、エピスターが20%出資している。
マイクロLED、コスト9割減も
プレイナイトライドは今年、マイクロLEDの小規模生産に入った。同社の李允立執行長は17日、マイクロLEDの大量移載、修復、検査技術の進展で、同社の最終的な良品率は100%も可能で、今後5年間で生産コストは95%の低下が見込まれると説明した。また、2025年にはロー~ミドルエンド市場への投入も見込め、LCDや有機ELと競争することになると指摘した。
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