ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

エビに深刻被害のウイルス、台湾で初の感染確認


ニュース 社会 作成日:2020年6月19日_記事番号:T00090620

エビに深刻被害のウイルス、台湾で初の感染確認

 エビやカニなど甲殻類に深刻な被害をもたらすとされる「十脚目虹ウイルス(DIV1)」への感染がこのほど、台湾のエビ養殖場で初めて確認され、政府や業界関係者が警戒を強めている。

/date/2020/06/19/19kakomi_2.jpgイルスが検出された屏東県など各地の養殖場では消毒作業が行われた(18日=中央社)

 行政院農業委員会(農委会)によると、DIV1は2014年12月に中国で初めて確認されたウイルスで、ヒトに感染することはなく、現在、獣疫に関する国際組織、国際獣疫事務局(OIE)への通報が必要な疾病にもリストアップされていない。

 しかし4月末より、中国沿海部の11省のエビ養殖場で相次いでDIV1が検出され、約8割の養殖エビが死亡する甚大な被害が生じた。これを受けて農委会は5月8日~21日に台湾域内の養殖場103カ所で調査を実施し、うちザリガニ養殖場1カ所で同ウイルスが検出された。

 さらにその後も調査を続けた結果、今月17日現在、ザリガニ養殖場12カ所、バナメイエビ養殖場3カ所、ウシエビ(ブラックタイガー)養殖場1カ所で感染が確認され、直ちに稚エビ約297万匹を含む全数が処分された。ウイルスが検出された養殖場の所在地は▽新北市▽新竹県▽宜蘭県▽南投県▽雲林県▽高雄市▽屏東県──と広範囲に及ぶ。

 農委会によると、中国と台湾で検出されたDIV1の遺伝子配列は同じだが、現在、台湾では中国からの甲殻類の輸入が禁止されており、ウイルスの侵入経路は今のところ不明だ。エビのエサや稚魚を通じて侵入したと考えられるが、感染が確認された養殖場の稚魚に関する遡及(そきゅう)調査でウイルスは発見されていない。

 現在、台湾におけるエビ養殖業の生産額は▽バナメイエビ、16億台湾元(約58億円)▽オニテナガエビ、20億元▽ザリガニ、3,719万元──となっており、これにウシエビを加えると40億元を超える。

 農委会は、現時点で市場に出回っているエビに健康上の問題はなく、価格にも大きな変動はないと説明。しかし養殖業者は、感染が拡大して多くのエビに被害が出た場合、供給減によって価格が高騰するなど、その影響は計り知れないと懸念している。

 新型コロナウイルスと同様、DIV1についても素早い対策で被害を未然に食い止めてほしいものだ。