ニュース 電子 作成日:2020年6月24日_記事番号:T00090697
米アップルは22日、パソコンMac用に自社開発した中央演算処理装置(CPU)「アップルシリコン」を発表し、約14年間採用してきたインテル製CPUからの切り替えを表明した。関係者によると、全数をファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が5ナノメートル製造プロセスで受託生産するようだ。年間出荷台数1,700万台以上のアップルPC向け受注がTSMCに移ることになる。アップルは今後、グラフィックスプロセッサー(GPU)の自社開発を進めるとされ、TSMCチームの研究開発(R&D)協力が続きそうだ。24日付経済日報などが報じた。
アップルは、年内にも最初のアップルシリコン搭載製品を発売する予定で、2年以内に順次、インテル製CPUからの切り替えを行う。アップルシリコンは、ARM(アーム)アーキテクチャーを採用して開発した。経済日報によると、TSMCの研究開発チーム300人が協力に当たったとされる。TSMCは特定の顧客についてのコメントを避けた。
観測によると、ノートPC「MacBook」とタブレット端末「iPad」向けプロセッサー「A14X」が第4四半期に、デスクトップPC「iMac」と「Mac Pro」向け「A14T」が来年第1四半期に量産に入るようだ。TSMCはこれまでも、スマートフォンiPhoneなど向けのプロセッサーAシリーズを受託生産しており、最新の「A14」シリーズでは3機種向けの生産を引き受けることになる。アップルのTSMC5ナノでのウエハー投入枚数は月間6万枚に上る見通しで、来年上半期までフル稼働が続きそうだ。来年第1四半期には、南部科学園区(南科)でTSMC「Fab18」工場3期が量産に入る。
TSMCにとって、中国通信設備大手の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)に対する米国の輸出規制強化により空きが出た、ファーウェイ傘下の海思半導体(ハイシリコン)向け生産能力の活用につながる。
経済日報によると、アップルはIC基板大手、欣興電子(ユニマイクロン・テクノロジー)の亀山工場(桃園市)の新規生産能力を確保しており、アップルシリコン向けに供給するようだ。同工場は4月に生産拡大計画に着手した。
GPU、5ナノプラス採用か
工商時報によると、アップルは初の自社開発となる独立型GPUを来年にも発表する見通しだ。TSMCが来年下半期に5ナノ強化版(5ナノプラス)で量産するとされる。アップルは17年からGPU開発を開始しており、▽A11▽A12▽A13──プロセッサーではGPUコアが統合された。
USB用IC切り替えで恩恵
サプライチェーン関係者によると、インテル製CPUからの切り替えにより、アップルはこれまでインテルから供給を受けてきた▽USBコントローラーIC▽高速データ転送規格「PCI Express(PCIe)」対応IC▽オーディオIC──などについて、他社からの調達に切り替える方針とされる。証券会社は、▽USBメインコントローラーICの祥碩科技(ASメディア・テクノロジー)▽USBハブICの創惟科技(ジェネシス・ロジック)▽威盛電子(VIAテクノロジーズ)傘下のUSBコントローラーICの威鋒電子(VIAラボ)──など台湾サプライヤーが、アップルから大型受注を獲得する可能性があると指摘した。
工商時報によると、ASメディアは、長期にわたりアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)向けに▽PCIe▽USB──など高速データ転送の対応のチップセットを供給しており、PCブランド大手の評価を受けている。ASメディアは、次世代USB規格「USB4」対応メインコントローラーとブリッジICを、第4四半期から21年第1四半期にも順次量産、出荷する見通しだ。
VIAラボは、USBメインコントローラー、ハブ、ブリッジICなどを手掛ける。「USB4」対応を進めており21年にも量産出荷できるとされる。
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