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《新型肺炎》検査キット来年16億セット不足か、台湾メーカーも準備(トップニュース)


ニュース 医薬 作成日:2020年6月29日_記事番号:T00090736

《新型肺炎》検査キット来年16億セット不足か、台湾メーカーも準備(トップニュース)

 新型コロナウイルスの全世界の感染確認者が1,000万人を超え、ウイルス検査の需要が高まる中、検査キットを生産する基亜生物科技(メディゲン・バイオテクノロジー)などが海外向けに供給している。今年第4四半期とみられるワクチン発売後には、接種前の感染検査、接種後の抗体検査が増加するとみられることから、来年は世界大手の生産能力では16億7,700万セット分が不足すると予想されている。台湾メーカーは欧米当局の認証取得を進めており、不足分の供給を契機に輸出の拡大が見込めそうだ。29日付工商時報が報じた。

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 基亜生物科技の汐止工場(新北市)の月産能力は100万セットで、米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可(EUA)と欧州連合(EU)の安全基準認証「CEマーク」を取得済みの徳必碁生物科技(TBGバイオテクノロジー)向けに供給しているほか、30万~40万セットを欧米や中東向けに供給している。

 台塑生医科技(フォルモサ・バイオメディカル・テクノロジー)の月産能力は、100万セット以上だ。

 普生(ジェネラル・バイオロジカルズ)の月産能力は80万セット。▽中東▽東南アジア▽インド▽メキシコ──から受注を獲得しており、第4四半期には2交代勤務態勢で生産に当たる。

 瑞磁生物科技(アプライド・バイオコード)の月産能力は10万セットだが、生産能力の拡大が可能だ。

 工商時報のまとめによると、米国のEUAを取得したのは▽金万林企業▽徳必碁▽聯亜薬業(UBIファーマ)▽泉沂医学科技(ジーンワン・ダイアグノスティクス)▽瑞磁生物科技▽博錸生技(プレックスバイオ)▽亜諾法生技(アブノバ)──、申請中なのは▽普生▽高端疫苗生物製剤(メディゲン・ワクチン・バイオロジクス)──だ。

 EUのCEマークを取得したのは▽柏勝生技(ブルーセンス・ダイアグノスティクス)▽瑞基海洋生物科技(ジーンリーチ・バイオテクノロジー)▽普生▽メディゲン▽金万林▽徳必碁(台湾、中国アモイ)──だ。

 この他、▽瑞基▽メディゲン▽普生──が衛生福利部(衛福部)のプロジェクトに参加、▽泰博科技(タイドク・テクノロジー)▽宝齢富錦生技(パニオン&BFバイオテック、PBF)▽台塑生医科技──などが中央研究院(中研院)からライセンスを取得している。

21年世界生産額、2倍以上に

 統一投顧(プレジデント・キャピタル・マネジメント)の予測によると、新型コロナウイルス検査の2020年の世界生産額は220億米ドルで、21年には585億米ドルに達すると見込まれている。世界十大メーカーが総生産額の約8割を占めており、20年通年の世界大手のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査キット生産能力は2億6,700万セットとされるが、需要は9億セットと推測されている。世界大手の生産能力のみでは、20年は6億3,000万セットの不足、21年は16億7,700万セットの不足が見込まれている。

 統一投顧は、新興国が感染第1波のさなかにあり、先進国が第2波に備える中でも、経済停滞を受け各国政府が経済活動の再開や出入国の段階的な正常化を迫られていることから、検査需要は非常に大きいものになると指摘した。

 新型コロナウイルスの感染確認者は世界で1,000万人、死亡者数は50万人に達した。ワクチンは早くて第4四半期にも発売されるとみられているが、ワクチン接種前には、新型コロナウイルス感染の有無の検査する必要があるとみられている。また、接種の2カ月後には、体内の抗体有無を検査する必要があり得る。この場合、第4四半期以降に10億人にワクチンを接種するとすれば、PCR検査10億回分と抗体の迅速スクリーニング10億回分への準備が必要なことになる。

 新型コロナウイルスは変異のスピードが速く感染力が強まっているが、感染による免疫持続期間が短いためワクチンによる抗体の持続期間も短くなることが見込まれる。専門家は、新型コロナウイルス感染症の流行は2年以内に収束しない恐れがあるほか、ワクチンは今後1~2年に1度の大規模な接種が必要となる可能性もあると指摘。ワクチン発売後も検査需要は衰えず、かえって増加すると分析した。

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