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中台カップルの中国籍子女、新型コロナで今も帰台できず


ニュース 社会 作成日:2020年7月6日_記事番号:T00090878

中台カップルの中国籍子女、新型コロナで今も帰台できず

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生後、台湾では中国籍渡航者の入境を禁じている。台湾人と結婚し、台湾の居留証を持つ中国籍配偶者は例外となるが、その子供が台湾の身分証を持たない場合、入境が認められないことから、子供だけが中国に取り残される事例が発生。母親が政府に人道的な配慮を訴えている。

 今回政府に陳情を行った中国籍の母親は、中国人の前夫との間に子供を1人もうけたがその後離婚し、台湾籍の元夫と再婚。次男と三男が誕生した。再婚後、長男は母親とともに来台したが、このようなケースの場合、台湾で8~10年生活した後、ようやく台湾籍の取得が申請できるようになるため、現時点で中国籍のままとなっている。

 長男と母親は今年1月、親族の葬儀に出席するなどの理由で中国へ渡航。その間に新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、台湾政府は2月、居留証を持つ中国籍配偶者以外の中国人の入境を禁止したため、長男は台湾へ戻ることができなくなってしまった。

 その後、台湾にいる次男と三男の世話をする者がいなければ夫は仕事に出られないため、母親は先に台湾へ戻らざるを得ず、長男は1人で中国に取り残されることとなり、そのまま半年が経過した。

 母親によると、中国に学籍を持たない長男は現地の学校に通うこともできないそうで、インターネット通信を通じて毎日「いつ台湾へ戻れるの?」と不安をつのらせているそうだ。

 この他、台湾人と中国人の結婚により中国で生まれた子供が台湾へ移住した場合も、台湾籍の取得には2年の期間を要する。このため台湾籍取得前の子供が今回の入境禁止措置が講じられる前に出境していた場合、台湾に再入境できなくなり、こうしたケースは複数発生しているようだ。

 2月に中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)が中国人と台湾人の間に生まれ、中国国籍を選択した子女の入境を禁止すると発表した際、同センターの指揮官を務める陳時中・衛生福利部(衛福部)長は「中国人配偶者の子女が台湾籍を選択しなかったのであれば、自分のことは自分ですべきだ」と述べていた。これに対し、台湾籍取得を待つ子供の保護者は「台湾籍を選択しなかったのではなく、身分証取得を待っているだけだ」と反論。家族と引き離された子供が早く台湾へ戻れるよう、特別措置を講じてほしいと訴えている。

 こうした声を受けて陳衛福部長は4日、中国籍子女の帰台については、一貫して議論を続けており、近いうちに入境が実現するとの見通しを示した。