ニュース 電子 作成日:2020年7月7日_記事番号:T00090880
IC設計最大手の聯発科技(メディアテック)の第5世代移動通信(5G)対応スマートフォン用システム・オン・チップ(SoC)「天璣(Dimensity)」シリーズは、中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)が下半期に発売するスマホ新機種での採用が広がりそうだ。米国による輸出規制強化で「麒麟(Kirin)」シリーズからの切り替えが進み、来年はファーウェイがメディアテックの最大顧客になるとみられている。7日付工商時報などが報じた。
ファーウェイは、第2四半期からメディアテックのチップの採用拡大を進めており、年初来では傘下ブランドの5機種で「天璣」を、2機種で4G対応の「曦力(ヘリオ)」シリーズを採用した。下半期に発売する5G新機種でも採用し、来年は多数の新機種への搭載でメディアテックの最大顧客になると見込まれる。4G時代はロー~ミドルエンド機種への採用にとどまっていたが、5G時代では全面的な採用が実現しそうだ。
ファーウェイ傘下のIC設計大手、海思半導体(ハイシリコン)のスマホ向けチップ「麒麟1020」シリーズは、ファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が5ナノメートル製造プロセスで生産しているが、米国による輸出規制強化により米国製設備による生産が原則禁止され、ハイシリコンは既に自社チップの新たな生産ができなくなった。
ファーウェイは、5G旗艦機種「Mate 40」シリーズ向けに「麒麟1020」の猶予期間(120日)内の調達を進めているものの、設備業者によれば、9月までに第4四半期分の850万~900万台分の需要を賄うことは可能だが、来年分の用意はできないようだ。
証券会社は、下半期のファーウェイによる採用拡大でメディアテックの5Gチップの今年の出荷量は7,000万個に上る見通しで、来年の出荷量はファーウェイ製スマホの6割で採用されれば1億7,000万個に達すると予測した。来年量産に入るとされる6ナノや5ナノ採用のメディアテックの次世代5G対応チップも、ファーウェイ製スマホでの採用が見込めそうだ。
エントリー向け、Q3発表か
7日付経済日報によると、メディアテックは第3四半期にエントリー機種向け5Gチップ「天璣600」を発表する見通しだ。価格競争力があり、発表前から多数の顧客が採用意欲を示している。第4四半期の同社の5Gチップ出荷の主力とみられる。
同社は既にハイエンドの「天璣1000」とミドルエンドの「天璣800」を投入しており、蔡力行執行長が先ごろ述べた、▽ハイエンド▽ミドルエンド▽エントリー──の製品ラインアップがそろうことになる。「天璣800」は、下半期も好調な出荷が続くとみられる。
英国初の5GSA向け採用
OPPO広東移動通信は6日、ボーダフォンとエリクソンと共同で英コベントリー大学に設置する同国初の5Gを単独で運用するスタンドアロン(SA)ネットワーク向けで、「天璣1000」シリーズ搭載のOPPO製5G対応スマホ「Reno3」を採用すると発表した。この他、クアルコムの「スナップドラゴン865」搭載のOPPO製5G対応スマホ「Find X2 Pro」も採用される。
中国メディアによると、5GSAネットワークによるスマホ向けのネットワークスライシング活用の研究を進める。ネットワークスライシングでは、同一ネットワーク上に利用目的や顧客ごとに分割した仮想的な専用ネットワークを構築でき、ネットワーク資源を高品質・低遅延が要求されるサービス向けに留保し、相互干渉を防ぐことが可能となる。
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