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20年工作機械輸出見通し、10%減へ下方修正(トップニュース)


ニュース 機械 作成日:2020年7月9日_記事番号:T00090925

20年工作機械輸出見通し、10%減へ下方修正(トップニュース)

 機械業界団体、台湾機械工業同業公会(TAMI)の柯抜希理事長は8日、今年通年の機械設備輸出額の見通しを従来予測の10%増から横ばいへと、工作機械は従来予測の10%増から約10%減へと大幅に下方修正した。世界各地で新型コロナウイルス感染症流行が依然収束せず、企業の投資意欲が減退していること、台湾元高が続いていることにより輸出環境が悪化している。台湾中部の工作機械・部品メーカーでは、7月の受注がなく、従業員に週3日勤務に加え特別休暇(有給休暇)取得への同意を求めるところも出ているようだ。9日付経済日報などが報じた。

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 政府による企業への経営支援策は6月末で期限を迎えたが、次の支援措置は未実施で、事実上の「減班休息」(景気を理由とした労働時間削減。いわゆる「無給休暇」。実際には有給を含む)に近い方式で、苦境を乗り切る構えだ。複数の経営者からは、下半期は経営体質の悪い工作機械メーカーの倒産が相次ぐとの見方も出た。

6月工作機械輸出、33%減

 TAMIなどが同日発表した6月の機械設備輸出額は20億6,600万米ドルで、前年同月比15%減と減少幅が拡大した。台湾元換算では616億7,000万台湾元(約2,250億円)で、19.4%減だった。このうち、工作機械は1億9,000万米ドルで、33.9%減だった。中国向けは6%減と減少幅が縮小した。ロシア向けは42%増だった。

 6月は、新型コロナウイルス感染症流行により、▽米国▽ブラジル▽欧州▽インド──向けの需要が減少したほか、台湾政府が外国人などの入境を引き続き厳格にコントロールしていることでビジネスパーソンが通常通り往来できず、受注や出荷への悪影響が続いた。

 ある工作機械メーカーの責任者によると、操業再開した中国企業は短期・緊急受注が主で、値下げ競争も激しく利益にならず、欧米企業の発注控えも加わり、第2四半期の新規受注はほぼなかったと指摘した。同期の生産は、昨年末や第1四半期の受注がほとんどだったと説明した。

上半期輸出、過去10年最低

 上半期の機械設備輸出額は123億8,000万米ドルで、前年同期比9.6%減だった。台湾元換算では3,717億元で、12.3%減だった。輸出先別では▽中国、36億6,000万米ドル(全体の29.6%)▽米国、26億9,000万米ドル(21.8%)▽日本、9億1,000万米ドル(7.4%)──の順だった。

 このうち、工作機械は前年同期比30.8%減の11億1,000万米ドルと、過去10年で最低だった。全体の9%を占めた。▽検査測定設備、17億1,400万米ドル(前年同期比6%増)、全体の13.8%▽電子設備、16億2,600万米ドル(3.8%増)、全体の13.1%──はプラス成長だった。

中韓に比べ「実質20%不利」

 TAMIによると、韓国ウォンは年初来、対米ドルで4.5%下落したのに対し、台湾元は1.69%上昇した。2018年1月比では4%上昇と、台湾の輸出競争力に影響している。

 17年1月比で見ると▽台湾元、8.95%上昇▽韓国ウォン、0.52%下落▽人民元、1.45%下落──と、台湾元との差は10ポイント前後と、競合の中韓に有利な状況だ。

 柯理事長は、最近の台湾元高はひど過ぎるとした上で、政府がこれ以上台湾元高を放置すれば、台湾系企業は出て行くしかなくなると苦境を訴えた。また、競合各国に自由貿易協定(FTA)による約10%の関税免除があることを踏まえれば、全体としては20%不利で持ちこたえられないと、政府に為替政策の再考を促した。

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