ニュース 電子 作成日:2020年7月13日_記事番号:T00090974
市場観測によると、ファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、米政府が5月に発表した中国通信設備大手の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)への輸出規制強化に対するパブリックコメント(意見公募)を、米商務省に提出したようだ。企業からの提出期限は明日14日までで、今後は米政府に対する出荷許可を申請する段階に入る。TSMCによる、ファーウェイ向け出荷継続に向けた米政府に対する強い姿勢の表れとされる。13日付経済日報などが報じた。
半導体製造業者に対し、米国製の製造設備などを使用してファーウェイに出荷する際に米政府からの許可取得を義務付ける輸出規制の強化は、現在、5月15日から120日間の猶予期間にある。米商務省は、企業の法規解釈や各界からの意見を募集しており、14日に締め切られる。
TSMCは12日、パブリックコメントの提出の有無を明らかにしなかった。同社の劉徳音(マーク・リュウ)董事長は先ごろ開いた株主総会で、ファーウェイ向け出荷のために努力しており、米政府による措置の目的や執行程度を見極め、解決策を探していき、大顧客を簡単には諦めないと表明していた。
6月中旬に出荷終了か
ファーウェイ傘下のIC設計大手、海思半導体(ハイシリコン)は、TSMCの上半期売上高の15%を占めており、第2顧客だ。TSMCは120日間の猶予期間内にハイシリコン製品の生産を急ピッチで行い、6月中旬に出荷を終えたとされる。TSMCは、既にハイシリコンからの新規注文を受けていないようだ。
証券会社は、TSMCからの出荷が許可されれば、ファーウェイは傘下のハイシリコンによる自社製チップの採用比率を引き続き引き上げることができるため、スマートフォン向けチップの市場シェアに大きく影響すると指摘した。輸出規制強化により恩恵を受けるとみられていた台湾の聯発科技(メディアテック)には不利となる。
ハイシリコン向けの空いた生産能力は、5ナノメートルは▽アップル▽クアルコム▽アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)──に、7ナノと12ナノは▽アップル▽AMD▽メディアテック▽エヌビディア▽ザイリンクス──などの顧客に割り当てられたとされ、TSMCの先進製造プロセスのフル稼働は年末まで続くとみられている。証券会社は、ファーウェイ向け出荷が許可されれば、フル稼働がさらに長引くと分析した。
顧客2社、来年サムスンに転注か
13日付蘋果日報は、ファーウェイの在庫調整に加え、来年のクアルコムの第5世代移動通信(5G)対応ハイエンドチップ、エヌビディアの新グラフィックスプロセッサー(GPU)「アンペア」はサムスン電子に受注が移るとされており、顧客6社のうち3社の動向変化は軽視できないとの見方を伝えた。
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