ニュース 電子 作成日:2020年7月15日_記事番号:T00091021
市場調査会社、インフォーマ傘下のオムディア(旧IHSマークイットのテクノロジー部門)によると、7~8月の液晶パネル価格は月間10%上昇し、生産コストを上回る見通しだ。北米と欧州でのテレビ販売好調を受けたもので、第3四半期のパネル調達量は前期比30~40%増加するとみられる。液晶パネル大手の友達光電(AUO)と群創光電(イノラックス)は、第1四半期まで5四半期以上赤字が続いているが、第3四半期にも黒字転換すると予測されている。15日付経済日報などが報じた。
14日開催の台湾顕示産業研討会(台湾ディスプレイ・カンファレンス)に出席した謝資深研究総監(中)。昨年8月にインフォーマ傘下に入り、今年新ブランドのオムディアとしてスタートして以降も、同カンファレンスの開催を続ける(14日=中央社)
オムディアの謝勤益(デビッド・シェイ)資深研究総監は14日、今年の液晶パネル価格は、第1四半期に新型コロナウイルス感染症流行によるサプライチェーン断絶で需給が逼迫(ひっぱく)して上昇した後、第2四半期は感染拡大で市場に悲観ムードが広がり下落したと説明。一方で、在宅時間が増え、感染症流行を乗り切るための必要品としてテレビや情報技術(IT)製品の人気が高まり、上半期の北米と欧州でのテレビ販売が予測を上回ったと指摘した。北米では、約1,000米ドルの50インチ前後のサイズの機種の売れ行きが最も良かった。中国で近年6月18日前後に行われているインターネット通信販売セールも好調だった。第3四半期はパネル調達が増え、7~8月のオファー価格は月間5~10米ドル上昇と、近年で最大の上昇幅となる見通しだ。
謝資深研究総監は、液晶パネル市場の景気循環(クリスタルサイクル)は通常1~2年周期だが、今年は異例の年2回の波となると分析した。
スマホ、LCD主流続く
一方、新型コロナウイルスはハイエンド市場に影響しており、8Kテレビの販売が予測を下回ったほか、スマートフォン市場全体の減退から、有機EL(OLED)ディスプレイ搭載のハイエンドスマホへの影響が大きかった。
オムディアは、今年の有機ELディスプレイ搭載スマホの市場浸透率を33%へと下方修正したほか、今後数年も50%以下にとどまるとして、液晶ディスプレイ(LCD)がスマホ向けで依然主流を占めるとの見方を示した。
21年に供給不足
謝資深研究総監は21年について、韓国勢のサムスンディスプレイ(SDC)とLGディスプレイ(LGD)が液晶パネル事業を大幅に縮小する中、世界経済がコロナ後のV字回復すれば、パネル需要は10%近く増加すると予測した。一方、供給量は1%しか増えないとみられ、21年は供給不足の1年になるとの見通しを示した。
また、韓国勢の撤退後は、中国勢の京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)やTCL華星光電技術(CSOT)がテレビ用パネルの価格決定権を握ることになり、台湾勢は生産能力で勝負できないため、垂直統合しか選択肢はなく、AUOがシステム統合を、イノラックスがテレビ本体の生産を推し進めていると指摘した。
偏光板も供給逼迫へ
パネル需要急増を受け、重要部品の偏光板も調達が増えており、台湾大手の誠美材料科技(CMMT)と明基材料(BenQマテリアルズ)が恩恵を受ける見通しだ。CMMTは第3四半期の黒字転換が見込める。
謝資深研究総監は、韓国のLG化学がこのほど偏光板事業の売却を表明したことで、来年は供給不足に陥る懸念もあると分析した。
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