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辺境の子供に3D映像体験を、映画監督の活動が10周年


ニュース 社会 作成日:2020年7月15日_記事番号:T00091047

辺境の子供に3D映像体験を、映画監督の活動が10周年

 ドキュメンタリー映画監督の曲全立(チャーリー・チュー、53)氏が2009年に2台のプロジェクターを携えて辺ぴな土地の学校を巡り、児童たちに3次元(3D)映像を見せる「美力台湾3D」プロジェクトを始動させてから今年で10周年を迎え、14日に記念イベントが開催された。

/date/2020/07/15/183D_2.jpg頼清徳副総統(左3)は、次の10年間も政府は支持し続けると表明した(14日=中央社)

 曲監督は35歳だった02年、脳に腫瘍が見つかり、残り半年の命と宣告された。その後、聴力や視力に後遺症は残ったものの奇跡的に回復。天から授かった「第二の人生」を無駄にしたくないと考え、地方の子供たちに3D映画を見せ、科学技術の進歩を感じてもらおうと決意した。

 曲監督は08年に3D映像技術に興味を抱き、同技術を用いて台湾各地の美しい自然や景色、生き物、伝統文化、職人や原住民の姿などさまざまな光景を撮りため、子供たちに見せて回った。

 そして14年、曲監督は自宅を売り払い、貯金を全てつぎ込んで大型ディスプレイを備えた「3D映画カー」を製作。自らハンドルを握って台湾のすみずみまで巡回するようになった。

 こうして地道な活動を続けた結果、曲監督が10年間で訪れた学校や施設は全22県市1,749校、166施設に上り、映画カーの総移動距離は台湾200周余り、地球5周分に達した。

 曲監督はこの活動について「もちろん途中で、自分は一体何をやっているんだと疑念が生じ、投げ出したいと思ったこともある」と語った。しかし、ある時、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の青年、鍾端育さんと出会ったことがきっかけで活動を続けようと決意したと明かした。

 10周年を迎えた今、曲監督は、今後は科学技術の他、▽食▽農業▽書道▽音楽──と融合した活動で子供たちに美的インスピレーションを与え、未来の希望を育みたいと語った。

 なお監督が撮りためた映像は1本の映画にまとめられ、台湾初の3Dドキュメンタリー作品『美力台湾3D(フォルモサ3D)』として17年に劇場公開された。現在ではDVDや動画配信サービスなどで鑑賞することができる。