ニュース 電子 作成日:2020年7月17日_記事番号:T00091075
ファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は16日、2020年の第5世代移動通信(5G)対応スマートフォンの市場浸透率予測を19%へと上方修正した。5Gスマホ2億台に相当する。5G関連と高性能計算(HPC)向けの好調な需要に支えられており、同社は通年売上高見通しを、前年比20%以上増、過去最高となる1兆3,000億台湾元(約4兆7,000億円)以上に上方修正した。新型コロナウイルスによるスマホ全体の販売不振や、米中貿易戦争、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)問題の逆風の中でも、予想以上の5G効果がうかがえる。17日付経済日報などが報じた。
劉徳音(マーク・リュウ)董事長は、新型コロナウイルスがスマホの購入意欲に影響しているとして、今年のスマホ世界出荷台数予測を前年比11~13%減へと、従来予測の7~9%減から下方修正した。
一方で、5G関連半導体の受託生産の需要は強いとして、ファウンドリー産業の世界生産額予測を前年比17~19%増へと、従来予測の13~15%増から上方修正した。また、同社の20年売上高見通しは、前年比20%以上増へと、従来予測の17~19%増から上方修正し、業界平均を上回ると予測した。同社の売上高構成比予測は7ナノメートル製造プロセスが30%以上とし、5ナノは8%へと従来予測の10%から下方修正した。
メモリー以外の半導体産業全体の生産額予測は、前年と横ばいまたは小幅成長へと、従来予測の1~3%減から上方修正した。
Q2純利益、前年比8割増
同社が16日発表した第2四半期純利益は1,208億2,000万元(前期比3.3%増、前年同期比81%増)で、過去最高だった。5GとHPC関連が、その他分野の落ち込みをカバーし、設備稼働率は高水準を維持した。
第2四半期連結売上高は3,107億元(前期比ほぼ横ばい、前年同期比28.9%増)だった。半導体販売額の構成比は7ナノが36%へと上昇、16ナノが18%、16ナノ以降の先進製造プロセスが合計54%だった。粗利益率は過去最高の53%(前期比1.2ポイント上昇、前年同期比10ポイント上昇)、営業利益率は42.2%(前期比0.8ポイント上昇、前年同期比10.5ポイント上昇)だった。
上半期純利益は2,378億900万元(前年同期比85.6%増)で、同期として過去最高だった。粗利益率は52.4%(10.2ポイント上昇)、営業利益率は41.8%(11.2ポイント上昇)だった。
Q3は7~10%増収予測
第3四半期の連結売上高見通しは112億~115億米ドルと前期比7.9~10.8%増、台湾元換算では3,304億~3,392億5,000万元と6.3~9.2%増と予測した。5ナノと7ナノで設備稼働率が高水準を維持し、過去最高更新の可能性がある。5ナノ製品の出荷が本格化するため、粗利益率は2~3ポイント下落の50~52%、営業利益率は39~41%を見込む。
設備投資額、6%上方修正
同社は、今年通年の設備投資額を前年比14%増の160億~170億米ドルへと、従来計画から10億米ドル(約6%)上方修正した。主に前工程設備の支出増加によるもので、通年の設備投資額として過去最高だ。今後数年間も、5GとHPC向けの需要が続くと見込む。
観測によると、増額分はオランダの半導体製造装置大手、ASMLからの極端紫外線(EUV)リソグラフィー設備の購入増に充て、計画中の3ナノの試験生産を早めるとされる。
TSMCの今年の設備投資額の主な用途は、7ナノ・5ナノの先進製造プロセスと先進パッケージング・テスティング(封止・検査)の生産拡大、3ナノ以降の研究開発(R&D)だ。
22年に3ナノ・4ナノ量産
魏哲家総裁は、来年上半期の試験生産、22年量産を予定する全く新しい製造プロセスとなる3ナノのほか、5ナノと技術互換性がありコスト競争力のある4ナノの量産を22年に予定していると説明した。二大製造プロセスが将来的な売上高の主力となると期待する。
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