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ウィストロン・ペガトロンがラックスシェア出資、アップル受注で協力か(トップニュース)


ニュース 電子 作成日:2020年7月23日_記事番号:T00091166

ウィストロン・ペガトロンがラックスシェア出資、アップル受注で協力か(トップニュース)

 電子機器受託生産大手の緯創資通(ウィストロン)は22日、中国子会社4社を通じ、中国同業の立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー)の株式0.81%を30億人民元(約460億円)で取得した。ウィストロンは先週、アップルのスマートフォンiPhone組み立てを手掛ける中国子会社をラックスシェアに年内に売却すると発表したばかりで、ラックスシェアは同組み立てに参入するとされる。台湾同業の和碩聯合科技(ペガトロン)も同日、ラックスシェア株を買い増した。市場では、中台組み立て3社が共同で、鴻海精密工業のアップル受注を奪う構えとみられている。23日付経済日報などが報じた。

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 ウィストロンは、戦略的パートナーシップ強化と純投資目的と発表した。先週発表した中国子会社の売却予定額は33億人民元で、ほぼ同額での株式取得となる。ウィストロンは、子会社売却との直接の関係はなく、提携の具体的な方向性は固まっていないと説明した。

 一方のペガトロンは、持ち株比率が0.57%に上昇した。同社は中国子会社を通じ、3月23日から7月22日にかけて25億2,700万台湾元(約92億円)を投じラックスシェア株0.16%を買い増したと発表し、純投資目的と説明した。

 iPhoneの年間出荷台数は7,000万~8,000万台で、これまでは▽鴻海▽ペガトロン▽ウィストロン──が受注を分け合ってきた。鴻海は22日、コメントを避けた。劉揚偉董事長は先ごろ、既存のもしくは潜在的な競合に対していつも危機感を持っているが、いかなる挑戦も恐れないと表明していた。

供給網管理で協力も

 経済日報は、米中対立が激化する中、アップルがラックスシェアへのiPhone発注方針を固め、ラックスシェアへの出資は台湾メーカーにとってやむを得ない選択と指摘した。▽米国▽中国▽インド──と多極化が進み、アップルが世界3カ所以上からiPhoneを出荷することになる可能性もある中、世界展開を進めるウィストロンは▽長年の廉価版iPhone組み立て▽iPhoneの後工程モジュール(LCM、液晶ディスプレイモジュール)供給▽サプライチェーン管理──での経験や技術をラックスシェアと共有し、共同でアップルからの受注拡大が狙えると指摘した。

 証券会社は、ラックスシェアはいわゆる「農村から都市を囲い込む」戦略を採っており、これまでも台湾企業の技術力を借りながら、アップルの完全ワイヤレスステレオ(TWS)イヤホンAirPods(エアポッド)の組み立てを手始めに、昨年には腕時計型ウエアラブル(装着型)端末Apple Watch(アップルウオッチ)に参入しており、iPhoneを受注しても驚きはないと指摘した。

 工商時報は、「小さい鴻海」と言われるラックスシェアの台湾電子業界からの資金獲得は、鴻海がコネクターメーカーから急速に成長した当時を思い出させると指摘した。

 ラックスシェアは、音響部品の美律実業(メリー・エレクトロニクス)と合弁でベトナム工場を設置するほか、コネクターの宣徳科技(スピードテック)に出資している。また、▽電子機器受託生産大手の広達電脳(クアンタ・コンピューター)▽コネクターの正崴精密工業(フォックスリンク)──から人材引き抜きを行っていたとされる。

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