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グリーン建築の新花蓮駅、冷房設置で苦情


ニュース 社会 作成日:2020年7月23日_記事番号:T00091179

グリーン建築の新花蓮駅、冷房設置で苦情

 2018年に供用を開始した台湾鉄路(台鉄)花蓮駅の新駅舎は、グリーンビルディング(緑の建築)のコンセプトに基づいて設計され、改札前ロビーには省エネルギーのためクーラーが設置されていなかった。夏場に、乗客から暑すぎるとの苦情が何度も寄せられたことを受け、このほど大型クーラーが設置された。すると、グリーンビルディングの理念に反する、景観を損ねるなどの苦情に悩まされることになった。

 花蓮駅の新駅舎は、政府が推進する省エネ、二酸化炭素(CO2)排出削減政策に応じ、建設や運用におけるエネルギーと水の使用を抑え、環境への負荷を低減するグリーンビルディングの理念に基づいて設計され、18年10月に供用を開始した。

 供用開始当初、改札口前のロビーにはクーラーを設置せず、自然の風を取り込めるよう外部に開けた設計となっていた。夏場には室温が30度を超え、利用者から多い時には週に3度も暑さを訴える投書が寄せられた。

 同駅は、換気扇を回したり、カーテンウォールを開いたりして空気の流れを良くすることで温度を下げるよう努めたが、最終的にクーラーの設置を決定。今月20日に、ロビーの両端に水冷式の大型クーラーを1台ずつ設置し、稼働させた。

 クーラー導入後、利用者からは「明らかに涼しくなった」とおおむね好評だが、一部の市民からはグリーンビルディングの理念に反するのではと、疑問視する声も上がった。

 これに対し交通部鉄道局東部工程処の伍育徳処長は、台湾におけるグリーンビルディング基準「緑建築標章」は省エネを目標としているが、クーラーを使用してはならないとはうたっていないと指摘。花蓮駅でもクーラーを常用するのではなく、温度が高すぎて利用者が耐えられない場合にのみ稼働させると説明した。

 花蓮駅の改札前ロビーは、壁一面がガラス張りで、駅周辺の美しい眺望を楽しむことができるよう設計されている。今回導入したクーラーは水冷式で、一般のものより風力が弱く、冷たい風を満遍なく送り込むため、ダクトを設置する必要があり、これがガラス窓の真ん中当たりを横切っていることから、建物の美的感覚を損ない、外の風景が楽しめなくなるとの意見も出た。

 花蓮駅の林徳香駅長は、ダクトは床から3~4メートルの高さに設置されており、視界をさえぎることはないと説明した。