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インテル7ナノ遅延、来年TSMCに生産委託か(トップニュース)


ニュース 電子 作成日:2020年7月27日_記事番号:T00091218

インテル7ナノ遅延、来年TSMCに生産委託か(トップニュース)

 米半導体大手、インテルのボブ・スワン最高経営責任者(CEO)は23日、同社初の7ナノメートル製造プロセス採用の中央演算処理装置(CPU)の量産出荷開始が、開発遅延のため2022年末~23年初めにずれ込むとの見通しを明らかにした。半導体の微細化競争での遅れが拡大する中、インテルは外部への生産委託を拡大する方針で、自社生産から撤退する可能性があるとの報道も出ている。観測によれば、インテルはファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と、来年の新製品の6ナノでの生産委託で合意したとされ、従来ロー~ミドルエンド製品が中心だった生産委託が、最新製品にまで拡大することになる。27日付工商時報などが報じた。

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 設備業者によると、インテルは来年のTSMCの6ナノ生産能力18万枚分を確保したとされる。インテルの10ナノのトランジスタ密度は、TSMCの7ナノをやや上回り、7ナノ改良版に当たる6ナノに相当することから、一部のCPUやグラフィックスプロセッサー(GPU)の10ナノ製品について、フォトマスクの再設計を行い、TSMCの6ナノで生産するとされる。TSMCとインテルはコメントを避けた。

 電子時報によると、インテルが21年にTSMCに生産委託するGPUはコスト競争力のある6ナノを採用するが、量は多くはないとの見方を伝えた。CPUでは、5ナノや開発中の3ナノの採用に向けた協議を進めているようだ。

 電子時報は、TSMCがインテルからの受注を総なめにするとの見方を伝えた。競合のサムスン電子のファウンドリー事業は、5ナノの歩留まり率が良くなく、インテルからのCPU受注はありそうにないと指摘した。

今後5年、インテルに先行

 TSMCは下半期、7ナノ生産能力の一部の6ナノへの転換が始まる。今年は6ナノと5ナノが量産入りし、4ナノと3ナノは22年に量産入りする予定で、インテルとの差はさらに広がることになる。

 インテルは、10ナノの研究開発(R&D)の際も遅延した経緯があり、7ナノで再び技術上のボトルネックに直面することになった。スワンCEOは同日、7ナノ製品の販売は計画より6カ月遅延し、歩留まり率は目標より1年遅れていると明らかにした。

 米金融大手のサスケハナ・インターナショナル・グループ(SIG)のアナリストは、インテルがTSMCに追い付く可能性は少なくとも今後5年間はほぼないと指摘した。

AMDは発注2倍に

 TSMCの先進製造プロセスは、来年上半期もフル稼働が続きそうだ。米国の輸出規制のため華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)傘下の海思半導体(ハイシリコン)からの注文を受けない分、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が7ナノと7ナノ強化版(7ナノプラス)でのCPUとGPUの発注を拡大したとされる。AMDの来年の同プロセスでの生産委託量は計20万枚と、前年の2倍に達する見通しだ。

米国主導に幕か

 自由時報によると、三十数年前のTSMCの設立当初、最初にTSMCに発注した海外メーカーはインテルで、その後のTSMCの海外顧客からの信頼獲得につながったものだが、三十数年後にインテルがファウンドリー事業に参入するも、先進製造プロセスでTSMCの後れを取る状況が続いており、先進製造プロセスでのTSMCへの生産委託は遅かれ早かれ起こると業界ではみられていた。

 ブルームバーグは、インテルと米国が半導体産業を主導してきた時代の終わりを示す出来事と伝えた。

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