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入院時の李元総統、長期間昏睡もひ孫には反応


ニュース 社会 作成日:2020年7月31日_記事番号:T00091333

入院時の李元総統、長期間昏睡もひ孫には反応

 きのう30日夜、李登輝元総統(享年97)の死去が報じられ、台湾社会に衝撃が広がっている。治療に当たった医師団によると、李元総統は死去するまで5カ月以上、繰り返し昏睡(こんすい)状態にあったことが明らかとなった。

 李元総統は今年2月8日、台北市士林区の自宅で牛乳を喉に詰まらせ、誤嚥(ごえん)性肺炎を発症。台北栄民総医院(タイペイ・ベテランズ・ジェネラル・ホスピタル)に入院して治療を続けていた。

 李元総統の事務所関係者は当初「意識ははっきりしていて、徐々に回復に向かっている」などと説明していたが、治療に当たった医師団によると、入院して約9日後に院内での活動に参加中、突然、心原性ショックを起こし、昏睡状態に陥った。

 その後も昏睡状態を繰り返したが、録音したひ孫の声を聞かせたり、撮影した動画を見せたりした時には、李元総統は反応を見せ、映像の動きに合わせて視線を動かすこともあり、医師や看護師を驚かせた。

 李元総統は生前、公の場で政治の話題について舌を振るうことが多かった。家族について自ら語ることはほとんどなかったものの、実は非常に家族思いの一面を持っていたようだ。

 李元総統は妻の曽文恵さんとの間に1男2女をもうけたが、長男の李憲文さんは、李元総統が台湾省政府主席を務めていた1982年、前年に生まれたまな娘、李坤儀さんを残し、30代の若さでがんにより亡くなった。その死に大きなショックを受けた李元総統は、坤儀さんを溺愛するようになり、政治の世界には全く興味を示さなかった彼女のプライバシーを守るため、孫の恋愛事情を質問した記者を大声で叱責(しっせき)したこともあった。

 そんな坤儀さんも2015年に結婚。「おじいちゃん、ありがとう」と感謝の言葉をかけられた李元総統は「本当にうれしい、唯一の孫娘が大きくなった」と感慨深く話した。

 坤儀さんは18年に長女を、さらに昨年末に長男を出産しており、李元総統が入院したのは2人目のひ孫の誕生を喜んでから間もなくのことで、意識を失いながらも、その成長を気にかけていたようだ。

 李元総統は23日に容体が悪化。医師は家族の同意の下で投薬量を減らすことになり、きのう、安らかに97年の長い生涯を閉じた。今ごろは息子と久しぶりの再会を果たしているのかもしれない。