ニュース 電子 作成日:2020年8月5日_記事番号:T00091387
市場観測によると、米クアルコムが次世代の第5世代移動通信(5G)対応モデムチップ「スナップドラゴンX60」とスマートフォン用システム・オン・チップ(SoC)「スナップドラゴン875」の生産委託を、ファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に急きょ切り替えたようだ。出荷開始は2021年下半期となるもよう。当初はサムスン電子の5ナノメートル製造プロセスで生産する予定だったが、サムスンの開発過程で問題が生じているためだ。TSMCは5ナノプロセスでも技術的優位性を見せ付け、フル稼働が続きそうだ。5日付経済日報などが報じた。
スナップドラゴンX60とスナップドラゴン875とは、サムスンが下半期に5ナノプロセスでウエハー投入を開始し、年内に量産を開始する予定だったようだ。近ごろ、サムスンの5ナノプロセス開発で問題が発生したとの観測が出ており、クアルコムが生産体制を見直し、スナップドラゴンX60の全てとスナップドラゴン875の一部を、TSMCの5ナノプロセスに委託することを決めたとされる。
TSMCは、市場の観測や顧客からの受注状況についてコメントしない。クアルコムもノーコメント。
業界関係者によると、クアルコムがTSMCに生産を委託するとなれば、フォトマスクの設計からやり直す必要があるため、半年程度の時間がかかる。今から設計を開始した場合、TSMCのウエハー投入は来年の第1四半期以降、パッケージング・テスティング(封止・検査)完了後の出荷は来年第2四半期末か第3四半期の初めとなる見通しだ。
5ナノ、月産9万枚へ
業界関係者によると、TSMCの5ナノプロセスは来年上半期まで受注満杯の見込みだ。年内は大部分がアップル向けで、今秋発売の5G対応スマホ新機種とみられる「iPhone12」用のプロセッサー「A14」を生産するほか、第4四半期にはアップルのノートパソコンMacBook(マックブック)用プロセッサーの「A14X」の生産に入るとされる。また、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)に対する米国の輸出規制を受け、9月14日までの猶予期間に出荷するため、ファーウェイ傘下の海思半導体(ハイシリコン)からの駆け込み発注にも対応している。
来年上半期はスナップドラゴンX60とクアルコムのスナップドラゴン875のほか、聯発科技(メディアテック)の5G対応スマホ用SoC「天璣(Dimensity)2000」シリーズ、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の一部チップの生産を開始するとされる。
業界関係者によると、TSMCは受注増に対応するため、来年第2四半期に5ナノ月産能力を8万~9万枚へと、現在の6万枚から拡大するようだ。
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