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TSMCなど3社、10~20%値上げか(トップニュース)


ニュース 電子 作成日:2020年8月6日_記事番号:T00091413

TSMCなど3社、10~20%値上げか(トップニュース)

 6日付電子時報によると、ファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)をはじめとする台湾の3社は、受注の大幅増により生産能力が逼迫(ひっぱく)しており、受託生産価格を10~20%引き上げたようだ。新型コロナウイルス感染症流行に伴うテレワーク(リモートワーク、在宅勤務)、オンライン学習、ゲームなどエンターテインメントなど巣ごもり商機拡大により、パソコンやタブレット端末がよく売れ、半導体業界の活況が続いている。

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 TSMCは12インチウエハー工場の先進製造プロセスがフル稼働状態で、8インチ工場でも28ナノメートル製造プロセス以外は受注が手いっぱいとなっている。大手の聯華電子(UMC)、TSMC傘下の世界先進積体電路(VIS)の8インチ工場の生産能力も逼迫している。VISの方略董事長は5日、価格引き上げ観測について、顧客と価格調整の交渉中と述べるにとどめた。

 8インチ工場の生産能力逼迫は、巣ごもり商機による消費者向け電子製品の需要増と第5世代移動通信(5G)対応スマートフォンでの製品規格向上により、▽電源管理IC(PMIC、パワーマネジメントIC)▽金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)▽ディスプレイ埋め込み型指紋認証▽飛行時間(ToF)カメラ▽センサー──向けなど、成熟プロセスで生産されることの多い半導体の需要が大幅に高まっているためだ。また、台湾の新型コロナウイルス対策での高い評価を受け、インフィニオン・テクノロジーズなどIDM(垂直統合型の半導体メーカー)も台湾ファウンドリーへの発注を拡大しているようだ。

下半期は供給不足に

 VISの方董事長は同日、下半期は8インチ工場の需要が力強いが、生産能力の大幅拡大はできないため、供給が非常に逼迫するとの見通しを示した。来年については、▽大型・小型パネル用ドライバIC▽PMIC▽パワー半導体──をはじめ全面的な成長が期待でき、仮に世界で年内に新型コロナウイルス感染症の流行が抑制できれば、来年の世界総生産(GDP)成長率5.8%が見込め、ファウンドリーの供給逼迫が続くと予測した。

 方董事長は、車載向け市場の景気は既に底打ちしたとの見方を顧客のIDMが示しており、同社としても期待していると明らかにした。

 同社は第3四半期もほぼフル稼働が続く見通しで、月産能力は8インチウエハー換算24万3,000枚と前期比2%増を予定する。通年では287万5,000枚と前年比15%増を予定する。

VIS、1万枚増強

 VISは同日、8インチの成熟プロセスの生産能力逼迫を受け、来年上半期にシンガポール工場の月産能力を4万枚へと1万枚増強すると発表した。投資額は2年で19億台湾元(約70億円)。今年の設備投資は35億元に上方修正した。

 シンガポール工場は最大6万枚まで拡張可能だ。グローバルファウンドリーズ(GF)から取得したもので、2020年1月に生産を開始した。今年の売上高の1割を占める見通しだ。

VIS、Q2売上高過去最高

 VISが同日発表した第2四半期連結売上高は、前期比4.9%増、前年同期比18.9%増の82億2,700万元で過去最高を記録した。8インチ需要とシンガポール工場が貢献した。粗利益率は33.2%(前期比2.2ポイント上昇、前年同期比3.8ポイント下落)、営業利益は17億6,500万元(前期比17%増、前年同期比5.3%増)、純利益は14億8,200万元(前期比0.4%増、前年同期とほぼ横ばい)だった。

 上半期連結売上高は160億7,100万元(前年同期比16.2%増)、粗利益率は32.1%(4.4ポイント下落)、営業利益は32億7,400万元(1.8%減)、純利益は29億5,800万元(3.2%増)だった。

 同社の第3四半期の連結売上高見通しは80億~84億元で、過去最高を更新する可能性がある。粗利益率は32~34%とみている。

【図】