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アザー米厚生長官が訪台、蔡英文総統と会談(トップニュース)


ニュース 政治 作成日:2020年8月10日_記事番号:T00091466

アザー米厚生長官が訪台、蔡英文総統と会談(トップニュース)

 アレックス・アザー米厚生長官が9日夕方台湾に到着し、今日10日午前に蔡英文総統と会談した。午後には新型コロナウイルス対策での協力など公衆衛生分野での米台協力覚書(MOU)の調印を見届け、訪問最終日の12日には台湾民主化に貢献した李登輝元総統の弔問に訪れる予定だ。米閣僚として6年ぶり、1979年の米台断交以降で最高位の高官の訪台となる。米国は、民主主義と感染対策を両立した台湾の成功例を高く評価しており、米台の協力関係のアピールで、米中対立が高まる中、「一つの中国」の下で台湾への圧力を強める中国をけん制する狙いがある。自由時報電子版などが伝えた。

/date/2020/08/10/00top2_2.jpgアザー厚生長官(左)と蔡総統(右)。拱手(きょうしゅ)でのあいさつや社会的距離の確保など感染対策が取られたが、米台の距離はこれまでになく縮まっている(10日=中央社)

 アザー厚生長官は蔡総統との会談で、トランプ大統領の台湾への友好と強い支持を伝えるために訪台できて光栄だと述べた上で、台湾の新型コロナウイルス対策での世界一とも言える成功は、台湾社会と文化の持つ開かれた透明性と民主主義の本質価値を明らかにするものだと指摘した。さらに、台湾は感染対策での情報共有に加えて、米国をはじめとする世界各地に医療物資を贈り、手を差し伸べたと、台湾の国際貢献をたたえた。

 アザー厚生長官はまた、李元総統を台湾民主化の父とたたえ、20世紀の世界の民主化運動の中での偉大なリーダーだったと哀悼の意を表した。

 蔡総統は、台湾と米国が協力して新型コロナウイルスに立ち向かう上で、アザー厚生長官の訪台は重要な一歩となると述べた。感染拡大の中で、台湾は域内の感染拡大を防いだだけでなく、感染症と戦う他の国を支援できる能力を備えていることが証明されたと指摘。台湾が政治的理由で世界保健機関(WHO)の年次総会、世界保健総会(WHA)から排除されているのは、普遍的な人権である健康の権利の侵害だと重ねて強調した。

公衆衛生での協力覚書調印

 10日午後には、アザー厚生長官は陳時中・衛生福利部(衛福部)長と共に、衛福部疾病管制署(CDC)で行われた、米国の対台湾窓口機関の米国在台協会(AIT)と台湾の駐米国台北経済文化代表処(TECRO)との間で、公衆衛生分野での協力を拡大する覚書の調印に立ち会った。

/date/2020/08/10/00top4_2.jpgAIT台北事務所のブレント・クリステンセン所長(左1)、アザー厚生長官(左2)、陳時中衛福部長(右2)、台湾美国事務委員会(台湾米国事務委員会)の楊珍妮主任委員(右1)(10日=中央社)

 明日11日は新型コロナウイルス対策本部の中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)の訪問と、台湾大学公共衛生学院での講演が予定されている。12日に李元総統を弔問した後、帰国の途に就く予定だ。

 アザー厚生長官が訪台する中、米中間では緊張が高まっている。8日には、米空母ロナルド・レーガンが東シナ海でパトロール行動を取っていることが中国側のシンクタンクの情報により明らかになった。

コロナ対策、外交特例

 新型コロナウイルス感染症の世界的流行で外交上の往来が滞っていたが、今後は感染対策を取った上で、特例での外出制限(隔離)期間免除による訪台が活発化しそうだ。9日には森喜朗元首相と超党派の国会議員による日本からの訪問団の李元総統の弔問と蔡総統との会談が日帰りで実現した。8月末にはチェコのミロシュ・ビストルジル上院議長ら90人規模の訪問団の訪台が予定されている。

 訪台に当たっては、訪台前のウイルス検査、チャーター機の利用、特別の送迎、集団での移動、全行程でのマスク着用、社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保などの対策を実施、一般市民との接触を避けることで感染リスクを最低限にしている。今後執り行われる李元総統の葬儀の際も、外交特例が踏襲される見通しだ。