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疑似出境フライト、乗客が「居家検疫」の対象に?


ニュース 社会 作成日:2020年8月10日_記事番号:T00091494

疑似出境フライト、乗客が「居家検疫」の対象に?

 新型コロナウイルスの影響で海外旅行に出掛けられない状況が続く中、台湾の航空各社が「疑似出境」が体験できる特別フライトを打ち出し、好評を得ている。ところが、フライトに参加した乗客が、本当に出境したとして、感染防止のための外出制限「居家検疫」の対象と見なされるトラブルに遭遇した。

 中華航空(チャイナエアライン)下の格安航空会社(LCC)、台湾虎航(タイガーエア台湾)は6日、桃園国際空港を出発して日本の九州上空まで飛行し、そのまま着陸せずに台湾に折り返すフライトを運航した。中華航空と長栄航空(エバー航空)は8日、桃園空港から台湾の上空を一周するフライトを運航した。

 これらフライトは実際に台湾の領空から出る上、乗客に海外旅行気分を味わってもらうため、搭乗手続きの際にパスポートの提示を求め、データ上も出境したと記録する処理を行っている。しかし、他国・地域に着陸するわけではないため、桃園空港に戻った後に出境の取り消し処理を行っている、はずだった。

 ところが8日に運航されたエバー航空の台湾一周フライトに搭乗した蘋果日報の記者が同日夜、通院先の診療所を訪れたところ、出境記録があり、「居家検疫」期間中のため診察することはできないと告げられた。周囲の視線が一斉に記者に集まり、緊張した雰囲気に包まれたという。他の疑似出境フライトに参加した乗客もこうしたトラブルに見舞われた。

 なお、新型コロナウイルス対策として衛生福利部中央健康保険署(衛福部健保署)が内政部移民署と協力し、出入境データと全民健康保険(健保)のデータを連結し、病院などで健保カードをリーダーに読み込ませれば、出境記録の有無が確認できるようにしている。

 中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)は、出境取り消し処理は手作業で行っているため、フライトに参加した直後に病院を訪れた場合、作業が間に合わないケースが生じたと弁明した。

 トラブルを受けて航空業界関係者やインターネットユーザーからは「疑似出境まで居家検疫の対象とするとは、まさに水も漏らさぬ感染防止体制だ」、「居家検疫までフルセットの疑似出境体験ができるのか」といったジョークが聞かれた。