ニュース 電子 作成日:2020年8月19日_記事番号:T00091643
金属筐体(きょうたい)大手の可成科技(キャッチャー・テクノロジー)は18日、中国江蘇省の泰州工場を、中国のカバーガラス板最大手、藍思科技(レンズ・テクノロジー)に14億2,700万米ドルで年内に売却すると発表した。同工場はアップルのスマートフォンiPhone向け筐体を生産しており、3~4割を受注していたキャッチャーは同業務から撤退するようだ。iPhone向け筐体の約5割を受注してきた鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー)を含む鴻海科技集団(フォックスコン)は、中国の紅色供給網(レッドサプライチェーン)との激しい競争に直面することになる。19日付経済日報などが報じた。
洪董事長(中)は、研究開発(R&D)と生産技術・コスト構造の改善に引き続き努め、業界をリードし続けると表明した(18日=中央社)
売上高4割消失
キャッチャーの売却は泰州工場の▽建物▽設備▽人員▽受注──などが含まれる。中台ハイテク企業間で過去最大の現金による資産取引となる。洪水樹董事長は▽顧客の戦略変更▽スマホ向け筐体価格の下落▽国際貿易情勢の変化によるリスク上昇──を検討し、売却を決めたと説明した。サプライチェーンの垂直統合が加速する中、独立系の筐体メーカーとしてスマホ向け筐体に依存するのでなく、多様化が必要と指摘。売上高が一定期間減少するものの、前に進むために変わる時だと述べた。同工場の昨年の売上高構成比は約4割だった。
キャッチャーは、他の江蘇省の宿遷工場、蘇州工場、台湾の台南工場の売却予定はないと説明した。来年は既存の▽ノートパソコン▽タブレット端末──向けに注力するほか、▽第5世代移動通信(5G)▽車載▽医療──向けなど新分野強化のため、潤沢な手元資金を活用し、域内外企業のM&A(合併・買収)も視野にあると説明した。
工商時報によると、同社はアップルサプライチェーンのインド進出に追随することや、東南アジアでのスマホ向け筐体工場設置は検討していない。
アップルのコスト削減策か
iPhone向け筐体はこれまで、鴻海精密工業傘下の鴻準が約5割、キャッチャーが3~4割を供給してきた。キャッチャーの粗利益率は以前は40~50%、鴻準は11~20%あったものの、アップルの価格引き下げ圧力により過去6四半期は下落しており、キャッチャーは20%余り、鴻準は10%未満に落ち込んでいた。
自由時報は、アップルはサプライヤーに対し価格引き下げを要求しているほか、中国企業に対し台湾企業の工場取得など垂直統合を求めていると指摘した。アップルの要求に応えられないサプライヤーは受注できず、新たな道を探るしかない。
iPhoneサプライチェーンでは、台湾の組み立て3社体制の再編が起こりつつある。7月中旬には、台湾の電子機器受託生産大手の緯創資通(ウィストロン)が、中国同業の立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー)への江蘇省の昆山工場売却を発表し、その後ラックスシェアに0.81%出資した。一方、和碩聯合科技(ペガトロン)は今月13日、金属筐体子会社、鎧勝控股(ケーステック・ホールディングス)を来年2月に完全子会社化すると発表した。
藍思科技、外観部品を手中
筐体への参入により、藍思科技はiPhone向けガラスと筐体の外観部品メーカーへと地位を向上させる。組み立てに参入するとされるラックスシェアと並び、台湾メーカーにとって紅色供給網の脅威となる。
藍思科技は、携帯電話の正面・背面用のカバーガラス部品が主力で、▽アップル▽サムスン電子▽華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)▽小米集団(シャオミ)▽OPPO広東移動通信▽維沃移動通信(vivo)──など、スマホ大手ブランドを顧客に抱える。
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