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米国産牛肉豚肉、21年輸入解禁(トップニュース)


ニュース 農林水産 作成日:2020年8月31日_記事番号:T00091834

米国産牛肉豚肉、21年輸入解禁(トップニュース)

 蔡英文総統は28日、2021年1月より米国産牛肉の輸入について月齢30カ月以下の制限を撤廃し、米国産豚肉の輸入は基準値以下なら成長促進剤(通称・痩肉精)「ラクトパミン」残留を認めると発表した。蔡総統は、米台関係は過去数十年で最も良く、さらに前進させることができると指摘した。3年間ストップしている米台間の貿易投資枠組み協定(TIFA)の交渉が再開する可能性が高まった。29日付蘋果日報などが報じた。

/date/2020/08/31/00tsai_2.jpg米中間の緊張が高まる中、台湾の安全と引き換えに決断したとの見方に対し蔡総統は、台湾の安全とは無関係と強調した(総統府リリースより)

 現行規定では、米国産牛肉の輸入は▽月齢30カ月以下▽内臓などの除外▽ラクトパミン残留量0.01ppm(100万分の1を示す単位)以下──となっているが、来年より月齢の制限を撤廃する。米国産豚肉の輸入はラクトパミン残留を認めていなかったが、来年より基準値▽筋肉と脂肪、0.01ppm▽肝臓、0.04ppm▽腎臓、0.09ppm──以下の残留を容認する。

 蔡総統は、米中貿易戦争や新型コロナウイルス感染拡大で、世界経済の構造が変化する中、米国との関係を強化する必要があると指摘。米国産牛肉と豚肉の新基準制定は、国家の利益と戦略的発展にも合致すると説明した。

 新基準については、12年と19年にラクトパミンを含む牛肉、豚肉に対する健康リスク評価を行い、コーデックス委員会(国際食品規格委員会)の規格下で、食品の安全に疑念はないと結論が出たと説明。「一歩も譲歩していない」と強調した。

 国民党の馬英九政権時代にラクトパミンを含む牛肉の輸入に反対していた民進党が突然、米国産牛肉や豚肉の輸入解禁を発表したことに対し国民党は、行政命令を用いて、立法院での審議を回避したと批判した。

 外交部は29日、米国のペンス副大統領やポンペオ国務長官ら政府高官が支持を表明したと発表した。

養豚業に打撃

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 台湾の昨年の牛肉市場規模は、▽米国産、6万4,377トン(45.6%)▽台湾産、7,351トン(5.2%)──だったのに対し、豚肉市場は台湾産が81万9,700トンで90.7%を占めた。

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 養豚が盛んな雲林県の張麗善県長は、養豚数は156万頭で年産額は320億台湾元(約1,200億円)に上り、大打撃を受けると指摘した。雲林県や屏東県の養豚農家は、民進党に見捨てられたと嘆いた。

 これに対し蔡総統は、養豚産業の支援のために100億元規模の基金を設立するほか、検疫・検査、原産地表示を強化すると説明した。産地表示は、売り場だけでなく、レストランなどにも義務付け、不実表示は最高で罰金400万元を科す。

【図】