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《ワイズ横丁》故宮本館と昭和楼、「歴史建築」登録


ニュース 社会 作成日:2020年9月1日_記事番号:T00091879

《ワイズ横丁》故宮本館と昭和楼、「歴史建築」登録

 台北市政府文化局は31日、市内の文化資産に関する審議会(文資審議会)を開催し、士林区の故宮博物院正館(本館)と中正区に残る日本統治時代に建設されたビル、昭和楼を「歴史建築」に登録することを決定した。

/date/2020/09/01/18kakomi_2.jpg昭和楼は、精緻な内装やサッシの付いた窓などが残されており、修復作業後に文化スポットとして活用される見通しだ(31日=中央社)

 故宮博物院は1965年8月に完成し、国共内戦を避けて中国大陸から台湾に運ばれ、台中市霧峰郷北溝に保管されていた貴重な文物を移管、一般公開された。

 文資審議会に出席した故宮博物院の元職員や周辺住民が結成した民間団体「大双渓好土聯盟」のメンバーは、国父紀念館(信義区、72年5月完工)や中正紀念堂(中正区、80年3月完工)がより厳重な保護の対象となる「古跡」に指定されているにもかかかわらず、これら建築物より早い時期に建てられた故宮博物院が同等の扱いを受けなかったことに不満を表明した。

 これに対し文資審議会の薛琴委員は、王大閎氏の設計による国父紀念館は、伝統的な建築様式に現代的な感覚を取り入れた上、細部にわたりスタイルが統一されており、権威主義の時代に自らの思想を表現したと説明。一方、故宮博物院を設計した黄宝瑜氏も、伝統的な建築様式を基に現代的な博物館を設計したが、蒋介石総統(当時)の命令に従っただけで、その創造性は国父紀念館より高いとは言えないと指摘した。別の委員は、古跡の方がランクが高いわけではなく、より厳しい管理を受けるだけで、歴史建築もその権利と義務に大きな差はないと強調した。

 一方、華山1914文化創意産業園区(華山1914クリエーティブパーク)そばに位置する昭和楼は、日本時代の42年に当時としては珍しいオフィスビルとして建設された。これまで何度も外観に手が加えられたため、かつて文化資産としての価値は低いと判断され、取り壊しの危機に直面したこともあったが、地元市議や保護を求める市民の訴えにより、登録に至った。

 昭和楼は幸運にも「一命」を取り留めたが、清朝時代に建てられた100年を超える歴史を持つ古民家「学仔内」(北投区)や、14年に建てられた結核の療養施設、松山療養所(南港区)、43年に建てられたボトルキャップ工場、南港瓶蓋工廠(南港区)などは、いずれも保存を求める声が上がったものの、古跡や歴史建築への登録はならず、既に取り壊されてしまった。

《ワイズ横丁》
酒の肴にしたくなる、台湾の文化や風習、イベント、流行などホットな話題をお楽しみください。(ワイズメディア)