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《ワイズ横丁》中国出張の康軒董事長、外出制限無視で内部告発


ニュース 社会 作成日:2020年9月9日_記事番号:T00092015

《ワイズ横丁》中国出張の康軒董事長、外出制限無視で内部告発

 教科書発行やインターナショナルスクールの経営など教育関連事業を展開する大手企業、康軒文教集団の李万吉董事長(61)が、先ごろ出張先の中国から台湾へ戻った後、14日間の外出制限措置「居家検疫」を受ける必要があるにもかかわらず、これを無視してサイクリングやプールに出掛けたり、自社の会議に出席したりしていたことが内部告発により明らかとなった。

 康軒集団は台湾のみならず、中国や東南アジアでも事業を展開しており、年間売上高は約70億台湾元(約250億円)と、業界でも一、二を争う有力企業だ。その康軒文教で董事長を務める李氏は、トライアスロンを趣味としており、これまで100回以上レースに出場している。毎週末にはジョギング、水泳、自転車のトレーニングを欠かさない。

 康軒集団の幹部の家族の蘋果日報への投書によると、李董事長は中国から台湾へ戻った今月5日から14日間、規定により新型コロナウイルスの水際対策のための外出制限措置「居家検疫」の適用対象にもかかわらず、普段通り自転車や水泳のトレーニングに出掛けた上、7日には新北市新店区の本社で開かれた幹部会議に出席した。会議には十数人の幹部が出席していたが、大部分がマスクを着用しておらず、李董事長はこの席で、中国で何度も検査を行ったが問題はなかったと強調。「あなたたちが通報しなければ何も問題はない」と告げたと伝えられている。

 この会議に出席した幹部の1人は、李董事長の行為が台湾の防疫対策の抜け穴となるのではないかとの懸念を強め、家族を通じて蘋果日報に経緯を投書した。報復を恐れて通報はできず、とはいえ家族に感染することはもっと怖いため、投書するしかなかったという。

 警察が事情を聴取したところ、李董事長は6日に外出したと認めたものの、7日の会議にはリモート方式で出席したと説明した。しかし、投書した幹部の家族から会議に出席して部下を表彰する李董事長の写真が提供され、すぐに偽証が明らかになった。

 新北市政府衛生局は李董事長の違法行為を確認し、集中検疫所での強制隔離処分を執行しているほか、50万元の罰金を科す方針だ。

 康軒集団は8日夜、良くない手本を示してしまったと謝罪する李董事長のコメントを発表した。同社でクラスター(感染者集団)が発生しないことを祈るばかりだ。