ニュース 社会 作成日:2020年9月10日_記事番号:T00092048
台南市の奇美医院では、3次元(3D)プリント技術を活用して臓器提供を行った死者のものとそっくりな臓器を製作し、遺体に収める台湾初のサービスを提供している。これが臓器提供を促進すると期待されている。
田副院長(中)は、台湾では本人または家族の同意がなければ、死後の臓器提供ができないため、市民の認知度を高める必要があると語った(9日=中央社)
奇美医院の田宇峯副院長によると、「臓器提供はすばらしいこと」との認識を持っていても、臓器が抜き取られれば死者の体から完全性が失われるとの考えが市民の間で根強い。これが理由で最終的に臓器提供をしないことを決める遺族も多いという。
同医院はこうした遺族の気持ちを配慮し、2016年に3Dプリント実験室を設立。遺族が「死者の遺体に欠けたところはない」と考え、尊厳を持って死者を送り出せるよう、この実験室で製作した臓器を、実物と差し替える形で、臓器提供者の遺体内に収めるサービスを開始した。
3Dプリントによって作られる臓器はコーンスターチを原料とし、1個につき40分ほどで出来上がる。
これまで27人の遺体に対し、コーンスターチ製の臓器96個が提供された。その内訳は▽腎臓、45個▽肝臓、26個▽心臓、21個▽すい臓、4個──となっている。
田副院長によると、サービス開始後、直ちに臓器の提供が急増したわけではないが、生前に臓器提供に同意する比率は確実に上昇している。奇美医院では毎年500~600人が臓器提供の意思表示カードに署名を行っている。
臓器の3Dプリントサービスは奇美医院の患者だけでなく、▽花蓮慈済医院▽高雄医学大学附設中和紀念医院▽台北栄民総医院▽高雄栄民総医院──の臓器提供者にも無料で提供されている。
田副院長は、臓器提供の啓蒙(けいもう)活動は長い道のりだが、今後もさまざまなチャネルを通じて市民の理解を深めていきたいと語った。
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