馬英九総統は29日開かれた玉山科技協会の年次総会で、台湾で預託証券(TDR)を発行する外国企業に対する、中国資本による出資比率上限の規制を完全に撤廃する考えを示した。行政院金融監督管理委員会(金管会)では、早ければ今週中にも行政院会議(閣議)に具体案を提示できるとしており、「100%中国資本」の企業に対し、台湾での資金調達の道が開かれることになる。30日付経済日報などが報じた。
相次ぐ対中規制緩和について馬総統は、「過去8年間が鎖国状態だったため目立つだけ。企業が自由に決定を行えるようにすることが重点だ」と語った
(29日=中央社)
馬総統は規制緩和のスケジュールについて、「8月末には実施できる」と指摘した。
台湾株式市場は、香港を含む世界19の株式市場に上場している外国企業にTDRの発行を認めているが、中国企業や中国資本による出資比率が20%以上の外国企業は除外されている。
レッドチップに期待
馬総統の発言を受けて、李紀珠金管会副主任委員は、「中国大陸本土に登記している企業を除く外資企業は今後、TDRの発行が可能になる。中国資本の持ち株比率や台湾で調達した資金の投資先にも制限を設けない。今週金曜日(8月1日)にも詳細を提示できるという」と語った。
金管会は中国資本による出資規制の緩和によって、香港上場のレッドチップ企業が、TDR発行に最も関心を抱くと期待している。
なお、規制緩和の対象には金融業は含まれない。李副主委は外国企業の台湾でのIPO規制についても、「緩和する方向で検討中だが、どの程度になるかは決まっていない」と語った。
12インチ、「開放しなければ不利」
馬総統は同日、半導体企業に対する12インチウエハー工場の中国投資開放についても、9月に実施することを重ねて強調した。馬総統は「米国はインテルが12インチ工場設置を決め、台湾は2年後れを取っている。それに中国は既に12インチ工場の技術を別のルートから取得している」と述べ、技術流失に対する懸念を否定。その上で、「開放しなければ台湾にとって不利」という考えを強調した。
12インチ工場の中国投資については、在任中に「戒急容忍(『急がず慌てず』の対中投資方針)」を掲げていた李登輝元総統が「拙速すぎる」と憂慮を表明している。民進党も「12インチ工場は台湾半導体産業の核心技術であり、補完措置がなければ対中投資開放は有害なだけだ」と批判している。