ニュース 社会 作成日:2020年9月15日_記事番号:T00092115
台湾本島北東部、新北市貢寮区に位置する漁村、卯澳集落と馬崗集落には約100年の歴史を持つ石積みの伝統家屋「石頭屋」が残る。老朽化から倒壊したり、新しい地主が取り壊しを望むなど、存続の危機に直面している。
卯澳集落の石頭屋について、文化資産に関する研究を行う台湾師範大学の蕭文杰助理教授は、2012年に調査が実施された際、既に保存状態が良好なものはわずか10軒となっていたが、当時の市政府は100万台湾元(約360万円)を投じて照明を設置しただけで、文化資産に指定し、修復を行うことはなかったと指摘した。その後、多くの石頭屋が倒壊したり、ありふれたコンクリートの建物に改築されたと話した。
一方、馬崗集落の東地区に残る石頭屋は、建物と土地の所有者が異なる状況となっている。数年前に土地の所有権を取得した現在の地主は、居住者が土地を不当に占拠していると主張し、石頭屋を取り壊して土地を返還するよう求めて裁判所に訴える事態となっている。
これに対し住民側は、地主と期限を設定せずに土地の賃貸契約を結んでおり、賃料を支払っていると主張したが、大部分の住民は賃料の支払いに関する証拠を提出できなかったことから基隆地方法院(地方裁判所)は、地主勝訴の判決を下した。
裁判に破れた住民はその後、取り壊しを免れるため「集落の建築群」の文化資産登録を新北市政府に申請した。審議の結果、独自性に乏しい、歴史的な脈絡に欠けるなどとして登録は見送られた。住民は申請却下の撤回を求めて行政訴訟を起こし、台北高等行政法院は今年7月、市政府の審議手続きに不備があったなどとして決定を取り消す処分を下した。
新北市政府は判決を不服として上訴しており、最終的な結論はまだ出ていない。
新北市政府は「集落の建築群」としての登録は認めていないものの、一部の石頭屋について価値が高いとして昨年12月、歴史建築に指定した。しかし、これに対しても不満を持つ地主が撤回を訴えて裁判を起こしており、先行きは不透明だ。
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