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中台緊張高まる、自衛の反撃を想定(トップニュース)


ニュース 政治 作成日:2020年9月21日_記事番号:T00092231

中台緊張高まる、自衛の反撃を想定(トップニュース)

 17日より米国のキース・クラック国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)が訪台したことに反発し、中国軍は18日、実戦を想定した軍事演習を開始し、中国軍の戦闘機が2日連続で台湾海峡の中間線を越えた。台湾海峡危機以来の深刻な挑発だ。国防部は、台湾軍の第一撃を「自衛反撃権の行使」と定義し、仮に攻撃を受けたり、相手が臨戦態勢で攻撃の意図があれば、応戦する構えだ。蔡英文総統は20日、中国に対し、挑発をやめ、自制するよう呼び掛けた。21日付聯合報などが報じた。

/date/2020/09/21/00cai_2.jpg蔡総統は、「文攻武衛(文で攻撃し、武で防衛する)」を挙げた上で、中国の軍事行動には、武で防衛すると語った(20日=中央社)

 慣例では、敵軍が領空内に侵入し、攻撃が可能な範囲と距離に達した時に、戦闘機から防空ミサイルを発射する。第一撃の名称を「自衛反撃権の行使」と改めたため、明確な敵対行為があった場合に反撃し、自ら第一撃を仕掛けて台湾海峡戦争を起こすことはない。規定で、領空外での敵軍への第一撃は、国防部長の命令が必要だ。

68キロまで接近

 台湾軍と中国軍はいずれも第一撃を仕掛けることはないとしているが、この半年の間に、中国軍の軍事的挑発行為は強まっている。

 国防部は、19日午前、中国軍の戦闘機19機が台湾の空域に侵入し、一部が台湾海峡の中間線を越えたと発表した。台湾軍は戦闘機をスクランブル(緊急発進)するなどして対応した。同時間帯には、李登輝元総統の告別式が行われ、クラック米国務次官、森喜朗元首相をはじめとする各国・地域の大使や駐台代表などが参列した。

 国防部は、18日にも中国軍の戦闘機18機が台湾の空域に侵入し、一部が台湾海峡の中間線を越え、一時は台湾本島の新竹とわずか37カイリ(約68.5キロメートル)の距離まで接近したと説明した。

 国防部の官僚は、李元総統が「二国論」と言われる「特殊な国と国の関係」を主張した1999年の台湾海峡危機以来だと指摘した。

地域の安全に脅威

 蔡英文総統は20日、もはや両岸(中台)だけの問題ではなく、地域の安全問題だと指摘した。中国の最近の軍事行動は、中国の国際的なイメージを損なうだけでなく、台湾の市民に警戒感を与え、地域の国・地域に中国の威脅を理解させたと語った。

 米国のシンクタンク、ハドソン研究所のセス・クロプシー氏は米国の政治専門紙『ザ・ヒル』への寄稿で、11月3日の米国大統領選挙後の1週間が、中国軍にとっては台湾を攻撃する最大のチャンスだが、米国政府が台湾に武器7種類を売却するとの情報が先週流れており、中国軍の侵入を妨げる効果があると分析した。