消費者物価指数(CPI)の上昇率は、7月が今年のピークで8月以降は落ち着いていくという予測が、行政院経済建設委員会(経建会)の陳添枝主任委員によって30日示された。今月中旬に一時1バレル=147米ドル台まで上昇した国際原油価格が、120米ドル台前半まで下落したことなどが理由だ。なお、物価高の象徴となってきたガソリン価格は、8月も1リットル当たり0.7~0.8元(約2.6円)の引き上げが予測されており、市民から強い不満の声が出ている。31日付工商時報などが報じた。
陳添枝経建会主委(右)。馬英九政権の支持率下落も原油価格高騰が大きな要因だ。しかし原油の下落で支持率が上向くかと言えば、そう単純にはいかないだろう
(31日=中央社)
CPI上昇率、「通年3.5%以下」
陳経建会主委は30日、通年のCPI上昇率の見通しについて、「民間の各研究機関によると3.3~3.9%となっているが、政府としては3.5%以下に収まるとみている」と語った。7月は、ガソリン価格・電気料金の値上げと台風7、8号の相次ぐ上陸による野菜・果物価格の上昇で、行政院主計処の従来予測より高くなると予想している。工商時報によると、5.5%前後に達する見込みだ。
陳主委はまた、小麦などの基幹物資価格が下落しているが、パン、水餃子、小麦粉など末端の商品価格にはまだ反映されていないと指摘した。邱正雄行政院副院長は30日に招集した物価安定作業グループ会議で、今後反映されるのかどうか、商品価格に注意するよう経済部に指示している。
ガソリン価格、機動対応を検討
8月2日からの石油製品価格は、7月30日までの国際原油価格を基にした試算では、ガソリンで1リットル0.7元~0.8元の小幅な値上げとなる。
値上げが実施されれば、引き続き各種製品の高騰を招き市民生活を圧迫するとして、与野党の立法委員や学界からは据え置きや値下げを求める声が強い。しかし、変動価格制を復活させたばかりであるためか、政府内部では、陳主委が「価格凍結は検討しない」と明言しているほか、尹啓銘経済部長、邱行政院副院長らも変動価格制の維持を主張しており、値上げの公算は高い。
一方で、原油価格の下落を直ちに反映させるため、経済部は邱行政院副院長からの指示に基づいて、変動価格制による価格調整の期間を、現状の「1カ月に1回」から、「週に1回」や「不定期」へ変更することを検討している。