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鴻海とヤゲオ提携、5G・EVに照準(トップニュース)


ニュース 電子 作成日:2020年9月29日_記事番号:T00092385

鴻海とヤゲオ提携、5G・EVに照準(トップニュース)

 電子機器受託生産サービス(EMS)最大手、鴻海精密工業は28日、受動部品最大手の国巨(ヤゲオ)との戦略提携を発表した。部品を共同で研究開発(R&D)し、ヤゲオから優先的に調達する。第5世代移動通信(5G)対応スマートフォンに加え、2年後の電気自動車(EV)投入を目指す鴻海にとって、大量に必要となる高品質の受動部品をあらかじめ確保する狙いがあるようだ。29日付工商時報などが報じた。

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 両社は、デジタルヘルス医療分野で具体的な成果を上げるほか、EVでも提携したいと表明した。

 鴻海の劉揚偉董事長は、共同でリソースを投入して新製品を開発し、顧客のニーズに応えると語った。両社の提携は、鴻海が掲げる▽EV▽デジタルヘルス▽ロボット▽人工知能(AI)▽半導体▽新世代通信──の「3プラス3」発展戦略にも合致する。

 ヤゲオの陳泰銘董事長は、両者の提携で「3プラス3」が「3かける3」になると語った。ヤゲオは▽EVの重要部品▽スマート医療▽工業規格▽5G▽特殊半導体のパッケージング・テスティング(封止・検査)──を長年手掛け、多くの実績を出しており、技術の互恵性、リソースの共有で、両社の価値は数倍に成長すると期待感を示した。

受動部品を網羅

 ヤゲオは、チップ抵抗器で世界首位、積層セラミックコンデンサー(MLCC)で世界3位。今年7月に買収が完了した米ケメットは、タンタル電解コンデンサー世界首位で、現在の納期は20週以上先だ。ヤゲオ傘下のインダクター大手、奇力新電子(チリシン・エレクトロニクス)はインダクター、抵抗器、磁性部品で世界3位、同欣電子工業は、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサー(CIS)封止・検査で世界3位だ。

 受動部品はどの電子製品にも必要で、2018年以来、需要が衰えず、価格が下がらない状況だ。自動車大手、裕隆汽車製造(ユーロン・モーター)との提携で、EV開発を進める鴻海にとってヤゲオとの提携は、MLCC、タンタル電解コンデンサーや、CMOSイメージセンサー封止・検査を確保できるメリットがある。

 一方、ヤゲオにとっても、これまで手掛けてきた消費者向け電子製品の受動部品は薄利のため、高規格の車載用、産業用に注力する中で、メリットがある。

 証券業界では、車載用部品の規格は複雑で、高い品質を求められるため、長期間の供給関係が好ましく、長期供給契約は価格の変動が小さくなり、両社の売上高や利益にプラスとみられている。

【表】