ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

元高進行、輸出企業が悲鳴(トップニュース)/台湾


ニュース 金融 作成日:2020年10月7日_記事番号:T00092489

元高進行、輸出企業が悲鳴(トップニュース)/台湾

 6日の台北外国為替市場の対米ドルの台湾元相場は前日比0.06元高の1米ドル=28.96元と、5日連続で元高が進み、9年ぶり元高水準となった。中央銀行(中銀)の統計によると、年初来で台湾元は3.96%上昇した。銀行関係者は、粗利益率が3~4%の電子製品受託メーカーは為替差損で利益が吹っ飛ぶと指摘した。機械業界団体、台湾機械工業同業公会(TAMI)の柯拔希理事長は、29元を割り込めばタダ働きになると嘆き、中銀に対し競合の国・地域の為替相場を注視し、必要に応じて元安に誘導してほしいと訴えた。7日付経済日報などが報じた。

/date/2020/10/07/00rate_2.jpg柯TAMI理事長(右)は、新型コロナウイルスの打撃が深刻な中、為替レートが守れなければ、輸出企業はいずれも赤字に陥ると懸念を示した(6日=中央社)

1ドル=28.5元が視野に

 6日の台湾元相場は、一時1米ドル=28.71元まで上昇したものの、輸入企業の米ドル買いや終盤の中銀の介入で、戻して引けた。取引額は17億4,000万米ドルに上った。7日の正午は、1米ドル=28.784元まで上昇した。

 銀行関係者は、中銀の楊金龍総裁の防衛ラインといわれる29元台を突破したのに続き、彭淮南前総裁の防衛ラインといわれる28.5元に向け、元高が進むと予測した。

 楊総裁の2018年2月26日の就任以来では、最近の元高を除くと、18年3月31日の1米ドル=29.12元が最高だった。彭前総裁の任期1998年2月25日~18年2月24日では、11年5月11日に一時1米ドル=28.476元を付けたものの、終値が28.5元を超えたことはなく、最高は11年5月5日の1米ドル=28.632元だった。

/date/2020/10/07/rate_2.jpg

韓国ウォンは下落

 年初来の対米ドルレートは、▽台湾元、3.96%上昇▽日本円、2.83%上昇▽人民元、2.28%上昇──に対し、▽韓国ウォン、0.55%下落▽シンガポールドル、1.01%下落▽マレーシアリンギット、1.53%下落▽タイバーツ、4.51%下落▽インドネシアルピア、5.92%下落──。

 柯TAMI理事長は、台湾の産業発展は輸出に支えられており、過去3年はライバルの韓国との為替レートの差が10%あったと指摘。中銀が競合の国・地域の為替動向をみて柔軟に対応しなければ、輸出企業は競争力を失い、取り返しがつかなくなると訴えた。第4四半期の利益はあきらめており、何とか今年を乗り切りたいと語った。

 台湾区電機電子工業同業公会(電電公会、TEEMA)の李詩欽理事長は、輸出企業は為替の影響を受けても、為替をコントロールすることはできないので、イノベーションで利益率を上げて打撃を緩和するしかないと語った。

【図】