ニュース 社会 作成日:2020年10月15日_記事番号:T00092632
家電大手の大同(TATUNG)が1970~80年代に台湾各地の各サービス拠点に配備した、同社ロゴ入りの軽トラック、通称「大同貨車」は現在、全土に1台しか残っていない。この1台をどうしても手に入れたいと考えた新北市男性が、嘉義県に住む持ち主の元に通い詰め、6年をかけて説得に成功。さらに2年をかけて修理し、ドライブに出掛けられるまで整備した。
新北市政府警察局海山分局に勤務する警察官の陳鵬宇さん(35)は、時代を感じる古い自動車に特別な思い入れがある。そんな陳さんのもとに8年前、かつて活躍した大同貨車が嘉義県朴子市に現存するとの情報が舞い込んだ。
最後の大同貨車とみられるこの1台を手に入れたいと考えた陳さんは、早速現地へ向かい、持ち主男性の張さん(現在90歳)にその思いをぶつけたが、即座に断られてしまった。
かつて朴子市で電器店を営んでいた張さんは、当時、嘉義県内で住宅1軒の価格が10万台湾元以下という時代に、8万元をはたいてこの大同貨車を手に入れていた。その分、思い入れが強かったようで、リタイア後も家の中に大切に保管していた。
ちなみにこの大同貨車はスバルが1973年に製造した2ストロークエンジン(2スト)の軽トラックだ。
一度は断られた陳さんだったが、どうしても諦めきれず、暇を見つけては朴子市へ向かい、張さんとの交流も深まった。2年前、ついに熱意が認められ、張さんから譲ってもよいとの言葉をもらった。
張さんは高齢でメンテナンスすることができず、大同貨車は何年も前からエンジンが掛からなくなっていたため、陳さんはけん引車を呼んで新北市まで輸送。その後、30万元を投じて徹底的に修理した。その結果、車の状態はどんどん良くなり、今ではドライブを楽しむこともできるようになった。
この貴重な大同貨車を60万元で譲ってほしいという者も現れたが、当然ながら陳さんは断ったそうだ。陳さんは、自分が集めているのはヴィンテージカーだけじゃなく、時代の記憶も一緒に集めているんだと語った。
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