ニュース
家電
作成日:2008年8月4日_記事番号:T00009290
歌林の株価急落、インサイダーの疑い浮上
家電大手歌林(コリン)の株価が急落した背景に大株主によるインサイダー取引があった疑いが強まり、法務部調査局北部地区機動工作組(機動捜査班)は近く、同社の李敦仁総経理を取り調べる方針を固めた。2日付経済日報が伝えた。
歌林の株価は5月から6月にかけ、90台湾元(約316元)前後から68元まで下落した。行政院金融監督管理委員会(金管会)の調べによると、歌林の大株主は同社が財務危機を公表することを事前に知り、持ち株や転換社債を大量処分していた疑いがあるという。
歌林は液晶テレビ事業で提携している米シンタックス・ブリリアン(SBC)が破たん状態に陥り、約59億元もの売掛金の回収に見通しが立たなくなったことで、先月30日には5,000万元の不渡りを出すなど経営状況が悪化。歌林の株式は信用取引禁止銘柄に指定されている。SBCからの出荷は今年2~3月の時点で滞り始めていたという。
歌林が昨年11月に無担保転換社債を発行していた。捜査当局は「高利回りの転換社債を急いで処分したのは、大株主が事前に株価に不利な情報を知り、歌林の株価動向を悲観したためだ」とみている。
これに対し歌林4日、「根拠のない情報であり、当社の董監事や高層幹部はインサイダー取引をはじめとした不法行為を一切行っていない」という反論声明を経済日報などに掲載した。
一方、歌林の債権銀行は1日に開いた会合で、利払い継続を条件に元金の償還繰り延べを決めた。金利の引き下げには応じない。台湾銀、中華開発工業銀、土地銀など銀行団は今週にも改めて会合を持ち、歌林による詳細な債務償還計画や融資条件の見直しを話し合うほか、会計士を歌林に派遣し、同社の財務状況を把握する方針だ。