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《ワイズ横丁》台湾海峡の沈没船調査、「海で針を探す」難しさ/台湾


ニュース 社会 作成日:2020年11月6日_記事番号:T00093018

《ワイズ横丁》台湾海峡の沈没船調査、「海で針を探す」難しさ/台湾

 台湾海峡は古くから東シナ海と南シナ海を結ぶ重要な航路となっており、無数の船が行き来してきた。それだけに沈没した船の数も多く、17世紀から第二次世界大戦期までに沈んだ船は500隻を超えるとされる。台湾の水中考古学の先駆者、中央研究院(中研院)院士の臧振華教授が率いる調査隊は、歴史や文化の謎を解き明かすべく13年前から、沈没船の捜索を行っているが、その作業はまさに四字熟語の「大海撈針」(海の底に落ちた針を拾い上げるという意味から、とても難しく実現不可能なことを表す)の意味を実感させるものだという。

 台湾政府はかつて沈没船の保存を重視していなかった。1987年に澎湖諸島の一つ、将軍澳嶼付近で漁師が宋時代のものと思われる沈没船(実際は清時代の船)を発見したが、公的な研究が始まったのは95年、中研院が調査隊を結成し、フランスの研究機関の協力を得て実際の海中調査に着手したのは2006年のことだった。

 中研院の調査隊はその後13年間、澎湖諸島周辺だけでなく、屏東県墾丁、台南市安平区、台東県の離島の緑島などの周辺海域の300カ所で調査を行ってきた。

 臧教授によると、沈没船の捜索はまず船会社や政府の文書、新聞などの資料を通じて手掛かりを得ることから始まる。地理環境や歴史からどの航路が比較的事故が起きやすいかを調べ、さらに地元の古老やかつて沈没船に網を破られたという船長から話を聞き、沈没地点を絞り込んでいく。

 実際の海中調査でも、▽台湾周辺の海域は潮の流れが極めて速い▽沈没船の多くが泥やサンゴに埋もれている▽水圧の影響▽強い底流▽廃棄された漁網▽視界の悪さ──など数々の困難が待ち受けている。探査でも▽サイドスキャンソナー▽磁気計▽マルチビーム音響測深機▽水中ドローン──などのハイテク機器に頼らざるを得ず、陸上での考古学調査とは難易度が天と地ほど異なるという。

 こうした困難を乗り越え、調査隊はこれまで、80隻の沈没船を発見。うち清時代の木造船や19世紀末期の英国の蒸気船、第二次世界大戦期の日本海軍輸送船「山藤丸」など6隻は、歴史的、文化的に高い価値を持つと判断され、沈没現場で保護措置を受けることとなった。

 調査隊は現在も、1867年に沈んだとされる米国商船「ローバー号」や、1944年に米国の潜水艦に撃沈された日本陸軍の揚陸艦「玉津丸」の捜索を行うなど、歴史の解明に向けた地道な努力を続けている。