ニュース その他分野 作成日:2020年11月16日_記事番号:T00093155
日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国など計15カ国が15日、東アジア地域的包括的経済連携(RCEP、アールセップ)協定に署名した。王美花経済部長は、RCEPは既存の自由貿易協定(FTA)と一部重複しているので、台湾の対ASEAN輸出への影響は小さいが、対中輸出が中心の石化業、紡織業の川上は打撃が比較的大きいと予想した。16日付経済日報などが報じた。
RCEPは、国内総生産(GDP)、人口ともに世界全体の3割を占める巨大貿易協定で、日本と中国、韓国の間では初のFTAになる。来年下半期にも発効する見通しだ。ピーターソン国際経済研究所(PIIE)の試算によると、台湾のRCEP未参加の打撃は、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)未参加の場合より大きく、2030年には輸出額が80億米ドル減少するという。
IT製品は影響なし
経済部は同日、工業局、国際貿易局などと対応策を協議した。王経済部長は会議終了後、台湾からRCEP各国への輸出の7割を占める情報技術(IT)製品は、世界貿易機関(WTO)の情報技術協定(ITA)によって既にゼロ関税のため、影響はないと説明した。
残り3割は石化業、紡織業、工作機械業などの従来型産業で、打撃が懸念されると語った。国貿局によると、台湾からRCEP各国に輸出する製品の現在の関税率は▽石化業、5.5~15%▽紡織業、6~12%▽工作機械業、8~9.7%──など。
台湾の石化業は中国向けの輸出が中心で、RCEPで中国の日本、韓国からの輸入品に対する関税引き下げが見込まれる。王経済部長は、関税引き下げ対象品目が発表され次第、影響を評価するほか、業界と意見交換を行い、競争力強化や市場開拓に向けた支援を行うと述べた。
紡織業は、川上の原料で、中日韓との競争が激化する見通しだ。川中と川下は欧米が主な輸出先で、既に東南アジアなど新南向政策対象国への生産拠点分散を進めたり、ハイエンドの機能性製品に注力したりしているので、影響は比較的小さい。
工作機械業は日本が最大のライバルだ。経済部関係者は、中国は日本、韓国からの輸入品に対する関税率9.7%を引き下げないとみられ、台湾には有利との見方を示した。
鉄鋼業や自動車部品業について王経済部長は、欧米向けの輸出が中心のため、RCEPの影響は限定的と指摘した。
台湾政府は引き続き、RCEPより幅広く、中国が参加していないCPTPPへの参加を目指していく。
従来型産業、生産移転加速か
中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の蔡練生秘書長は、RCEPで打撃が予想されている石化、紡織、機械業は、輸出競争力が削がれるため、台湾メーカーのRCEP参加国への生産移転が進むと予測した。
工総理事長を務める台塑集団(台湾プラスチックグループ)の王文淵(ウィリアム・ウォン)総裁は、石化産業は新型コロナウイルス、米中対立にRCEPが追い打ちとなり、ますます競争力が低下すると訴えた。
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