ニュース 電子 作成日:2020年11月18日_記事番号:T00093203
中国のスマートフォン大手、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)は17日、同社のスマホ出荷台数の30%を占めるロー~ミドルレンジブランド「HONOR(オナー)」事業を売却すると発表した。米国政府の輸出規制強化を受け、ファーウェイ本体からオナー事業を切り離す。聯発科技(メディアテック)など台湾のIC設計会社は、オナー向け2カ月ぶり出荷再開が見込まれる。18日付経済日報などが報じた。
オナーブランドは2013年創設で、スマホ出荷台数は年間7,000万台。メディアテックは第5世代移動通信(5G)対応システム・オン・チップ(SoC)「天璣(Dimensity)800」が、▽オナー30青春版▽オナーX10マックス▽オナープレイ4▽オナー9A──などの機種に採用されていたが、9月15日のファーウェイに対する米国の輸出規制強化を受け、出荷できなくなっていた。
ファーウェイは売却額は明らかにしなかったが、1,000億人民元(約1兆6,000億円)と市場で観測が出ている。売却先は、深圳市智信新信息技術で9月27日設立、資本金は1億人民元。深圳市政府傘下の投資会社が98.6%を出資している。ファーウェイから6,000人以上が移籍するとされる。
ファーウェイは、オナー事業の売却後も、深圳市智信新信息技術の株式は保有しないと説明した。オナー事業は、米国の輸出規制の対象から外れ、メディアテックやクアルコムから自由にチップを調達できるようになる。
業界では、米中の緊張が高まる中、深圳市智信新信息技術が米国企業のクアルコムに利をもたらすはずがなく、メディアテックへの発注を拡大すると予想されている。オナーブランドはロー~ミドルレンジ機種が主力で、メディアテックと市場が合致している。
メディアテックは17日、ノーコメントとした。
証券会社は、オナーからの受注拡大で、メディアテックの5Gチップ出荷は今年4,500万セット、来年は1億5,000万セットまで増えると予測した。
ラーガンのレンズ供給も
証券会社はメディアテックのほか、▽聯詠科技(ノバテック・マイクロエレクトロニクス)、有機EL(OLED)パネル用ドライバIC▽敦泰電子(フォーカルテック・システムズ)、液晶ディスプレイ(LCD)ドライバIC・TDDI(タッチコントローラーとディスプレイドライバの統合)IC▽昇佳電子(センサーテック・テクノロジー)、センサー用IC▽神盾(イージス・テクノロジー)、コンデンサー・光学指紋認証IC▽鈺太科技(ジルテック・テクノロジー)、微小電子機械システム(MEMS)マイクロホン──などのチップサプライヤーが、オナーブランド向けの供給を再開すると予測した。
またオナーが今後、レンズの規格を引き上げ、スマホ用カメラレンズ最大手の大立光電(ラーガン・プレシジョン)が供給する可能性がある。
場合によっては、ファーウェイがスマホ市場から撤退を余儀なくされ、オナーがハイエンド機種を引き継ぐとの見方も出ている。
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