光ディスク業界3位の精チョウ科技(プロディスク・テクノロジー、チョウは石へんに蝶のつくり)は4日、会社更生手続の申請を発表した。CD-R(データを1回だけ書き込み可能なCD)の特許使用権をめぐり、蘭フィリップスから銀行預金の仮差し押さえを受け、資金繰りが悪化したという。同社のCD-R生産の一時停止は、光ディスク市場の需給改善に一定の貢献をするとみられる。5日付経済日報などが報じた。
負債額、86億元
プロディスクは4日、同社の負債額が86億台湾元(約303億円)に上ることを明らかにした。特許使用権に関するフィリップスとの争議や業界全体の低迷で財務状況が悪化しており、今後業務の一時停止や休業に陥る恐れがあると判断。会社法に従い、会社再建に向けて更生と資産保全の緊急措置を裁判所に申請したという。なお、経済日報は「プロディスクが市場から撤退する」と報じたが、ワイズニュースが同社に確認したところ、「再建を目指し、CD-Rの生産は一時的に停止するが、DVDは従来通り生産を継続する」という回答だった。
同社の公開資料によると、6月末時点での流動性資産は8,577万元だが、8月末に必要な短期融資などの返済額は5億元にも上る。 フィリップスはプロディスクについて、長期にわたって契約を守らず知的財産権を侵害しており、他のライセンス供与先に不公平な状況をもたらしたと指摘している。フィリップスは特許使用権の更新交渉のもつれから、5月に台北県新荘市のプロディスク工場の仮差し押えを行うなど強硬な態度をとったが、両社による交渉の結果、6月上旬にこれを解除している。
債権銀行、今後の支援を来週検討
プロディスクの債権銀行は、来週中にプロディスクと協議の場を持ち、シンジケートローン(協調融資)の契約内容を見直し、今後の再建を支援するかどうか決定する予定だ。
プロディスクの負債額のうち、シンジケートローンは7億元を占める。主幹事の一行、兆豊国際商業銀行は、プロディスクが売却を予定している機械設備は融資の担保として十分だと指摘。プロディスクからは、まだ利息の引き下げ要求などは受けていないとしている。
中環、Q4も値上げへ
市場調査機関BOCの統計によると、プロディスクの昨年の世界シェアはCD-Rが9%、DVDが11%。世界市場は約10%の供給過剰とみられることから、同社の生産休止よって適正な水準に向かうことが期待される。プロディスクは、最大手の中環(CMCマグネティクス)、ライ徳科技(ライテック、ライはかねへんに来)、インドのモーザー・ベア・インディア(MBI)に次ぐ世界4位で、OEM(相手先ブランドによる生産)を主に手掛けていた。
中環の翁明顕董事長は、8月に原料コストを反映させた10%の値上げを行うが、第4四半期にも市場の需給バランスを考慮した上での大幅な値上げを予定していると語った。これにより、第4四半期は黒字転換できるとみている。