ニュース 社会 作成日:2020年12月23日_記事番号:T00093839
台湾鉄路(台鉄)全線で唯一、南迴線(南回り線)で運行されていたディーゼル機関車式の普快車(普通列車)は、鮮やかな青い車体から「藍皮普快」の通称で親しまれてきたが、同路線の電化工事完了に伴い、定期運行を終了することとなった。22日の最終便には多くの鉄道ファンが全土から駆け付け、別れを惜しんだ。
6両の車両に500人以上が乗り込んだ(22日=中央社)
「藍皮普快」は約60年間にわたり台湾全土で運行され、学生やサラリーマンの通勤、通学の足として利用された。このため1950~70年代生まれの市民にとっては懐かしい思い出として脳裏に刻まれているようだ。
台鉄の電化が進むに連れ、「藍皮普快」は徐々に姿を消していき、2014年以降は南迴線の枋寮(屏東県)~台東間を1日1往復するのみとなっていた。先ごろ、南迴線の電化工事が完了し、きょう23日にダイヤ改正が行われたのを機に電車運行が始まり、「藍皮普快」は約60年の歴史に幕を閉じることとなった。
最終運行日となった22日は平日にもかかわらず、始発駅の枋寮駅には全土から大勢の鉄道ファンが詰め掛け、乗車したり、ホームで最後の勇姿を見送るなど思い思いの方法で別れを告げた。
ある新竹市から駆けつけたある高齢男性は、高校時代、通学のために毎日乗っていた「藍皮普快」の車両の中で、後に妻となる女性にラブレターを渡したそうで、「この列車には若いころの甘い思い出が刻まれている」と感慨に浸った。
機関車の先頭部に「さようなら!藍皮普快」の文字が記された記念プレートが掲げられた最終便に、同列車の歴史と年齢をほぼ同じくする59歳の馬世駿列車長(車掌)がスーツに制帽の「正装」で乗り込み、発車のベルとともにゆっくりと動き出すと、ホームにあふれる鉄道ファンから口々に「さようなら!」の声が上がった。
「藍皮普快」の車両は今後、改修した上で観光列車として運行される予定だ。
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