内政部統計処の最新統計によると、第2四半期の域内不動産の売買・譲渡件数は12万件余りに達し、前年同期比で9.7%、前期比では34%の大幅な成長を見せた。下半期の見通しについて7日付工商時報では、▽対中政策の実質的な効果▽インフレ圧力が緩和するかどうか▽政府系銀行の住宅ローン返済期限の最長30年への延長──などの要素の影響を見守る必要があるとしている。
台北、桃園が半数以上
内政部の不動産統計によると、第2四半期の成約件数は、各主要都市でいずれも顕著な伸びを見せた。特に台北県市、桃園県での取引が活発で、成約件数の上位3位を占めた。同3地区における成約件数の全体に占める割合は53.4%と半数以上に達した。
不動産仲介大手、永慶房屋の廖本勝総経理は「総統選後、市場への信頼が回復し、初めての住宅購入、投資目的の購入が共に伸びている」と分析する。
また、成約件数の伸びに関しては、台中市、高雄市、桃園県、台北県の4地区で前期比40~50%増と突出した成長を見せた。このほか新竹県では、前期比成長率は他の県市に見劣りがするものの、前年同期比では47.4%増と大幅な成長を記録した。同県では新竹科学工業園区や竹北県政特区での、ハイテク(高科技)、高学歴、高所得の「3高」層を狙った開発業者の積極的なプロジェクト展開が奏功しているとみられる。
「対中開放政策が今後の鍵」
ただ、同日付経済日報では、「今年通年の成約件数は40万件を上回ることは難しく、恐らく2003年以来最低となる」という業界関係者の見通しを伝えている。
しかし、永慶房屋の廖総経理によると、最近の経済環境悪化を受けて売り主も態度を軟化させており、不動産価格は台湾全域で既に下落傾向にあるという。今後適度な値下げが進めば、成約件数も正常な状態に軌道修正されるとみている。
廖総経理は、政府系銀行に対し住宅ローンの返済期限を現行の最長20年から30年に延長するよう働き掛けている政府の指導を好感しており、「実現すれば購入者のローン返済に対する懸念が軽減され、対中開放政策による効果と合わせ、不動産市場への信頼度が回復する」と期待を示した。
また中国資本による台湾不動産への投資開放などが検討される中、不動産仲介経紀商業同業公会全国聯合会(不動産仲介業の同業者団体)の王応傑名誉理事長は、「今後の不動産市場の動向は、対中開放政策の効果がどの程度のものになるかが最も重要な要素となる」と話した。
中古住宅価格、過去最高の伸び
中古住宅価格の変動を表す信義房屋の「住宅価格指数」によると、第2四半期の指数は115.39ポイントで前年同期比9.72%上昇、前期比では過去最高となる3.19%の上昇率となった。特に都市交通システム(MRT)紅線開通、鴻海精密工業の高雄軟体科技園区進出決定などにより、高雄市では前期比6%、前年同期比では7.83%上昇した。台北市は前期比2.89%の上昇だった。