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TSMC21年設備投資、過去最高280億ドルへ(トップニュース)/台湾


ニュース 電子 作成日:2021年1月15日_記事番号:T00094206

TSMC21年設備投資、過去最高280億ドルへ(トップニュース)/台湾

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は14日、2021年の設備投資は前年比45~62.4%増の250億~280億米ドルの見通しと発表した。過去最高となる見込みだ。TSMCは、第5世代移動通信(5G)や高性能計算(HPC)のメガトレンドで、今後数年は半導体の先進製造プロセスの力強い需要が続くと予測した。日本に工場を設置するという市場の観測については否定し、半導体材料の研究開発(R&D)センター設立を検討中と説明した。15日付工商時報などが報じた。

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 TSMCが同日発表した今年の設備投資見通し250億~280億米ドルは、市場の予測200億~220億米ドルを大きく上回り、台湾のハイテク企業として過去最高となる。同社の20年設備投資は172億4,000万米ドルだった。

 劉徳音(マーク・リュウ)董事長は、5ナノメートル製造プロセスだけでなく、3ナノプロセスの需要もかなり強いことが設備投資拡大の理由と説明した。

 TSMCによると、設備投資の8割は▽7ナノ▽5ナノ▽3ナノ──の先進プロセス、1割は先進パッケージング(封止)とフォトマスク製造、1割は特殊プロセスに振り分ける。

 設備業界関係者は、21年末にTSMCの極端紫外線(EUV)露光(リソグラフィー)装置は70台まで増え、世界最大の生産能力となると予測した。

 TSMCは、今年3ナノのリスク試産を実施し、22年下半期に量産を開始する予定だ。3次元(3D)ICパッケージングのシステム・オン・インテグレーテッド・チップス(SoIC)は、22年に少量の量産を開始する予定だ。

高度成長期、16%増収予測

 魏哲家総裁は、21年の米ドル建て売上高は前年比14~16%増と、業界平均を上回る見通しで、同社は高度成長期に突入したと指摘した。メモリーを除く世界の半導体産業の生産額は8%増、ファウンドリーは10%増と予測した。

 劉董事長は、TSMCの20~25年の売上高の年平均成長率(CAGR)は、10~15%と予測した。

 魏総裁は、21年は5GやHPC向けに加え、スマートフォンや車載用の需要も高まると述べた。

 TSMCが予測する21年の世界のスマートフォン台数は前年比10%増で、5Gスマホの浸透率は35%へと、昨年の18%から倍増する見通しだ。

米アリゾナ工場、月産2万枚へ

 劉董事長は、日本での半導体材料の研究開発センター設立構想について、3D ICの半導体材料をサプライヤーと共同開発する考えで、まだ最終決定していないと説明した。

 今年着工予定のアリゾナ工場について劉董事長は、現段階では月産2万枚を目標とし、将来的には生産能力を拡大する可能性があると説明した。

 中国の南京工場は生産能力拡大計画があるものの、具体的なスケジュールは決まっていないと語った。

 一方、インテルがTSMCに先進プロセスの生産を委託するという市場の観測と設備投資の引き上げは関係するのかとの証券会社の質問に対し魏総裁は、特定の顧客についてはコメントしないとし、5GやHPC向け長期的需要が強いためと語った。

【図】