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車載用半導体不足、独経済相がTSMCに供給要請か(トップニュース)/台湾


ニュース 電子 作成日:2021年1月25日_記事番号:T00094365

車載用半導体不足、独経済相がTSMCに供給要請か(トップニュース)/台湾

 独メディアや米ブルームバーグの報道によると、ドイツのアルトマイヤー経済相が王美花経済部長や沈栄津行政院副院長に対し、ドイツの自動車産業の半導体不足の窮状を訴え、主要サプライヤーであるファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)に伝達してほしいと文書で要望した。政府経由での増産要請は異例の事態だ。ドイツだけでなく、米国や日本も外交ルートを通じてTSMCに車載用半導体の供給量拡大を要望したとされる。25日付工商時報などが報じた。

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 事情に詳しい政府関係者によると、王経済部長は24日午前に車載用半導体不足を報じた海外メディアの報道を知り、TSMCの幹部に電話し、新たに生産能力を捻出し、車載用半導体の顧客に優先的に供給してほしいと伝えた。これに対しTSMCは、生産状況に注意し、生産能力に余裕があったり、生産効率向上で多く半導体を作れれば、政府に協力し、車載用半導体に優先的に供給すると回答した。

 沈行政院副院長と王経済部長の事務所はいずれも、ドイツ政府から文書は受け取っておらず、具体的な内容は説明できないとコメントした。ただ、昨年末より外交ルートを通じて各国・政府より車載用半導体不足への対応を求められているとのみ説明した。

 TSMCは、当社にとって車載用半導体不足はトッププライオリティー(最優先事項)であり、車載用半導体の顧客と緊密に連携し、需要を支えるとコメントした。

価格3倍でも3カ月先か

 米国の自動車大手、フォードも、蕭美琴・駐米台北経済文化代表処代表を通じて、TSMCに対しフォードに車載用半導体を優先的に供給してほしいと訴えたとされる。

 経済部関係者によると、昨年、新型コロナウイルス感染拡大を受け、自動車メーカーに半導体を供給するボッシュやNXPセミコンダクターズがTSMCに対する生産委託を減らしたことを受け、TSMCは昨年4月時点で、発注を減らすのなら今後追加発注をしても後回しにすると警告していたという。

 事情に詳しい政府関係者は、自動車メーカーが台湾のファウンドリーに直接発注しているわけではなく、経済部など政府関係者は間に入って調整することしかできないと指摘した。

 ある半導体業界関係者は、各国・地域がファウンドリーにお願いしている状況で、価格は3倍以上で現金払いでも、納品は3カ月以上先だと明かした。供給不足は1年続くとの見方がある。

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